建築学科

デザインするのは、快適で安全な建築、まち、そして生活。

建築学科では地域に残るストックや歴史といった文化的側面を尊重しながら、構造計算や図面作成といった工学的な技術を身につけ、建築と「まち」をトータルデザインできる人材を養成します。市民や行政に対するパブリック・ミーティングをはじめとする校外演習やイベントを通じて、調査、分析、提案、プレゼンテーションまで行える総合的なマネジメント能力を養います。また、保存やリノベーションといった今日的な課題にも積極的に取り組みます。

学問の魅力

広い視野で建築物やその環境をとらえる

構造、材料、環境、計画、デザインなど、幅広い分野にまたがるのが「建築学」の特徴です。そのため、工学だけでなく、人や社会に対する関心や芸術的・科学的なセンス、さらにはマネジメント能力も必要になります。本学科では「計画・意匠」「構造・材料」「環境・設備」「まちづくり」「生産・マネジメント」の5コースを準備し、広い視野で建築物やその環境をとらえ、地域の歴史や文化、暮らしに根ざした建築を学びます。

学び方

多彩な視点からものごとを見渡す力をつける

人・社会・地球環境との関わりの中で、もの・建築・まちをデザインする力を養います。そして専門知識や技術に基づき、調査分析、問題解決、提案、プレゼンテーションをする力を身につけます。また、第一線の実務者や研究者を招いて交流することで、建築分野の動きを学び、将来の職業意識を高めます。キャンパスのある川越のまちづくりの課題に取り組むなどのプロジェクト実践形式の授業や演習も多く、実践的な力も身につけることができます。

グローバル化への対応

海外で活躍するための心得を日常的に学ぶ

建築分野は、図面をもとにしたコミュニケーションがはかれるため、言葉の壁を乗り越えることは比較的容易です。そのため、最近は卒業後の活動場所が海外となることも多くなっています。一方、建築は場所に固定し1つだけつくられるものであるため、立地する場所の気候や風土、経済や社会、歴史や文化の影響を受け、地域性が強いという側面があります。本学科には海外で建築実務や研究活動の経験のある専任教員、非常勤講師が多く、日常の指導の中でグローバル化と地域性との関わり合いを詳しく扱っています。

タイ・チュラロンコン大学ならびにイタリア・カメリーノ大学との国際交流を通じて、国際感覚を養っています。

4年間の学び

5つの専門分野でスペシャリストを育成

基礎的科目は共通に学び、学年が進むと、各自が関心を持つ専門分野の科目を選択することができます。専門分野は「計画・意匠」「構造・材料」「環境・設備」「生産・マネジメント」「まちづくり」の5つからなります。「設計製図演習」は5つの専門分野を横断的につなぐ科目で、設計案をまとめる中で幅広い視野が身につきます。さらに各専門分野にも設けられた設計演習により、実際的な提案能力を養います。

新カリキュラムの特徴

広範な建築学を5専門分野に体系化し、これらをつなげる「設計製図演習」、建築基礎科目である「建築構造学」「建築環境・設備工学」を基幹科目(必修科目)としています。時代や社会の変化、地域性、生活の多様化など、建築を取り巻くさまざまな状況に対して、多角的な視点から取り組む設計演習科目も、5分野すべてに配置しています。
本学科のカリキュラムでは、建築・まちの企画、デザイン、マネジメント能力を身につけます。そして多くのフィールドワークの実践により社会規範を身につけ、他者と協調しながら課題をまとめ上げる能力を伸ばします。さらに自身の研究論文や設計作品を学内外で発表する機会を多く設けることで、豊かなプレゼンテーション能力を養います。

卒業論文・卒業設計のテーマ例

  • 歴史的煉瓦造建築物の耐震性能評価方法に関する研究(卒業論文)
  • 音環境及び色彩との複合環境が快適感・知的生産性に与える影響(卒業論文)
  • 公共施設整備におけるワークショップの評価についての参与研究(卒業論文)
  • 家族の媒体としての住宅−過去から学び、新自邸に応用する−(卒業設計)
  • 流る堀、時代を駆ける(卒業設計)
  • ビル・街・人の接点を創造する(卒業設計)

学びの取り組み

大学の外へ出る教育

現実に即した教育プログラム

建築学科の教育では、社会とのつながりを重視しています。基幹科目である「設計製図」をはじめ、実際の社会とのコミュニケーションや情報発信に取り組む実践型のカリキュラムが特徴です。
設計製図では、近隣の川越市や鶴ケ島市、さいたま市、入間市などを敷地として、実際に必要とされる建築を設計する課題を取り入れています。作品講評には、建築家をゲストに招くだけでなく、市民や行政職員も交えて活発な意見交換を行う「パブリック・ミーティング」などの機会も多く設けています。

大学外へ訴求するプレゼンテーション力の養成

完成した成果物は学外での展覧会を行い、設計した学生自身が、訪れた市民や建築・まちづくりの専門家に直接プレゼンテーションを行います。説得力のあるプレゼン力を身につけ、学生のつくり上げたものが実社会で通用するか、手応えを感じることができます。また、学年ごとに「まちかど講評会」「まちづくり提案展」「卒業設計展」などを開催しています。

学生の自主的活動へのサポート

授業だけでなく、学生有志による自主的な活動も活発に行われ、学科教員のアドバイスを受けながらさまざまな試みをしています。「木匠塾」「建築パーティー」など、その内容も多彩です。

持続可能な時代に対応した専門領域と実践力

これからの社会に対応する充実した専門科目

1、2年次で建築・まちづくりの全体像を把握し、基礎的な知識と技術を身につけます。3年次からは、専門性の高い5つの専門科目を自身の興味や希望進路に合わせて選択していきます。いずれの分野でも、「ストック活用」「住民参加」「木材活用」「省エネルギー」「国際性」など、これからの社会で欠かすことのできない視点を取り入れた授業を行っています。「計画・意匠」「構造・材料」「環境・設備」「まちづくり」の4分野に加え、既存ストックの活用に深く関わってくる「生産・マネジメント」を独立した専門領域として位置づけているのは、ほかの大学ではあまり見られない特色です。

演習・実験を通しての体感

建築は現実社会と深く関係のある分野です。実際に建築やまちをつくり、運営することでの社会貢献に重要性が置かれています。教室で講義を受ける座学のみではなく、実際につくられるものをイメージし体感することが、実社会での建築・まちづくりでの現場での力になります。つまり、実践的に知識と技能を取得することが欠かせません。5つのコースすべてにわたって多様な演習科目を設けているのも、体感的・実践的に専門性を身につけてもらうためです。

木を生かした建築・まちづくり

親しみの持てる空間づくり

日本は森林資源に恵まれ、歴史的にも木を多く用いた建築をつくってきましたが、耐震性や防火性を追求する中で、鉄やコンクリートを中心とした建築を数多くつくるようになっていきました。しかし、木材の持つ暖かみや柔らかさなどを生かした親しみの持てる空間が、いま改めて評価を受けています。
木を用いて大規模な建築や公共施設をつくることも、技術的に可能になりつつあります。この社会的な流れを一層押し進めるために、木を生かした建築を実現するためのさまざまな技術開発や制度づくり、空間設計に積極的に取り組んでいます。

環境問題も含めたより広い視野での考察

木材の利用を進めることは、木を育てる山間地、木材へ加工する中間地、建築の建てられる敷地へと、多くの地域をつなぐ「まちづくり」につながります。また、山林を維持することによる国土保全や木材中への二酸化炭素固定など、環境問題にも効果的です。木を通して、建築単体にとどまらず、より広い視野で建築をとらえることができるようになります。