電気電子情報工学科

明日の地球につながる技術

エネルギー・制御分野、エレクトロニクス分野、情報通信分野について、系統立てて学びます。「電気工学」、「電子工学」、「情報通信工学」をベースに現代社会を支える技術について理解し、広い視野と倫理観をもって新しい技術を創造する技術者の育成を目指します。

学問の魅力

電気・電子・情報通信工学を融合

「電気電子情報工学」とは、電気・電子・情報通信工学の3分野を融合した学問です。電気電子情報技術は、コンピュータや家電、自動車、人工衛星などあらゆる工業製品に活用されており、発展の著しい分野です。さらに、エネルギー問題や環境問題といった地球規模の問題を扱うため、技術者としての専門知識だけでなく、倫理観が必要とされる学問でもあります。

学び方

実践的な学びで創造力を養う

電気工学と電子工学、情報通信工学を基盤に、エネルギー・制御、エレクトロニクス、情報通信の各分野について専門的に学びながら、コンピュータを活用する力も育成します。1年次に、専門科目の導入となる「電気電子情報工学通論Ⅰ」で社会での実用・応用例を学ぶことにより、2年次以降の専門分野の学修へスムーズに移行することができます。また、「コンピュータプログラミング」ではソフトウェアを活用したプログラムの作成を、電気電子情報実験では電子回路製作等のものづくりを実施するといった具合に、実践的な学びで創造力を養います。

グローバル化への対応

英語能力向上のための英語科目

  • 4年間継続して英語を学ぶ環境を整えるため、3、4年次に「Basic Technical English」、「Advanced Technical English」を設けました。
  • 目的別に英語運用能力を鍛える演習形式の習熟度別クラスを実施し、週2回以上の履修を奨励しています。
  • 理工学で要求される基礎英語力の育成を目標とした必修科目として、1年次には「Writing Ⅰ/Ⅱ」、2年次には「Reading Ⅰ/Ⅱ」があります。また、応用英語力を鍛える選択必修科目として「Speaking Ⅰ~Ⅳ」、TOEICテスト対策の「Prep for TOEIC Test Ⅰ/Ⅱ」、TOEFLテストなど留学に必要な試験対策の「Academic English」も開設されています。
  • 国際的視野で考え判断できる能力を養うため、英語で行われる授業を設けています。「英語と文化」、「Japanese Culture and Thought」では自国文化・伝統と英語圏文化との比較・対照を、「Scientific Concepts in English」では科学的な物の見方を英語で学修します。また、長期留学を目標とした全学共通プログラムLEAP(Learning English for Academic Purposes)科目では、英語で表現する能力を鍛えます。
  • 3・4年次の新設科目では、卒業研究や大学院での研究活動に活用するための実践的な英語力を強化します。

専門科目の英語での実施

必修科目「コンピュータプログラミングⅠ」を英語で開講し、英語での専門知識の獲得の基礎を形成するとともに、必修科目「輪講Ⅰ、Ⅱ」において、英語論文や洋書を用いて卒業研究に必要な専門的知識を養い、 国際的に活躍できる技術者を養成します。

異文化理解、複言語主義への対応

外国の伝統と文化を学ぶ科目として「ドイツ語と文化」、「フランス語と文化」、「中国語と文化」、「韓国語と文化」(新設)の多言語科目を3年次から配置しました。なお、外国人留学生は1、2年時に日本語科目が必修となっています。

4年間の学び

1年次は基盤教育科目、2年次以降は専門科目を系統的に学ぶ

1年次より専門科目の導入となる「電気電子情報工学通論Ⅰ」で、社会での実用・応用例を示してキャリア形成支援を行い、専門分野になじめるように配慮しています。また、「電気回路」「電磁気学」「コンピュータプログラミング」などの基幹科目と、これらを理解するのに必要な「応用解析学」は、2クラス編成で細やかに指導します。2年次以降はエネルギー・制御、エレクトロニクス、情報通信の各分野の専門科目を系統的に学びます。

カリキュラムの特徴

カリキュラムは基盤教育、理工学基盤科目、専門科目から構成されています。

基盤教育

「哲学・思想」では哲学教育で大切となる相対的認識力を身につけるため、先人が築き上げた多様な考え方、思想、倫理観、人生観を学ぶ科目があります。特に東洋大学独自の哲学教育の理念・目的に沿う「井上円了と東洋大学」、理工学部人財養成の目的に沿う「エンジニアのための哲学」で、自らの価値観と社会人としての倫理観を持って自ら考え、行動できる人格形成を目指した教育を行います。また、理系の一般教養としての「統計学」(形式科学)、「経営学」(社会科学)、国際社会において必要とされる分析力、組織運営とリーダーシップについて学びます。「キャリア・市民形成」ではパソコン操作法、図書館利用を含む文献・資料調査手法、文章・レポート作成手法をはじめとするスタディースキル、社会生活を充実させるためのコミュニケーション力などを培います。さらに「日本語リテラシーⅠ」、「日本語リテラシーⅡ」では、日本語力などを含めたキャリア教育が行われます。

専門科目

将来の技術革新に柔軟に対応できる次世代を担う先導的な技術者を育成するため、「電気工学(エネルギー・制御)」、「電子工学(エレクトロニクス)」および「情報通信工学」分野を「3つの柱」としています。1年次では、基幹科目「電気回路Ⅰ」、「コンピュータプログラミングⅠ」を必修科目としています。また、初年次教育の一環として、この先専門科目を修得する動機づけともなる「電気電子情報工学通論Ⅰ」を配置しています。2年次では、1年次に引き続き基幹科目「電磁気学Ⅰ」、「電子回路Ⅰ」を必修科目として学修し、これらをより深く理解するために「応用解析学A、B」も設けられています。また、2年次から「電気電子情報実験Ⅰ」の実験科目で、技術革新に柔軟に対応できる技術力の基礎を学びます。3年次では、必修科目「電気電子情報実験Ⅱ、Ⅲ」によって、将来必要となる専門的な技術力を身につけます。また、各分野「3つの柱」に関してさらに専門性の高い科目が多く配置され、技術革新に柔軟に対応できる技術者の育成を目指します。4年次では、各分野「3つの柱」に応じた研究室に配属し、これまで学んできたことの集大成として卒業論文を作成します。また、卒業研究発表を通してより高度な専門知識を得て、かつ自分の考えを文章と口頭で的確に伝える能力を身につけていきます。

卒業論文のテーマ例

  • 再生可能エネルギーの次世代直流送電に向けた大電流遮断技術に関する研究
  • 再エネ大量導入時代の電力を安定利用するための新しいデータ駆動型系統解析制御手法の開発
  • エアブリッジ構造とオープンスタブを用いたローパスフィルタの設計
  • 無線電力伝送デモ用TUアンテナの研究
  • 機械学習を活用した効率的な無線周波数選択手法
  • コミュニケーションロボットのための映像からの行動推定
  • 赤緑青色照明による視力・老視の改善
  • Micromagnetic simulation
  • ダイヤモンド微粒子の鋭く尖ったエッジを利用した電界放射電子源の研究
  • 新機能ナノカーボン材料の開発及び、量子素子への応用に関する研究
  • フェムト秒レーザーパルスのスペクトル位相変化を用いた光学ガラスの群遅延分散評価

学びの取り組み

重要科目2クラスでの授業

電気電子情報工学科では、技術革新に柔軟に対応できる技術者を育成するため、次の3点を教育目標・実施の基本方針としています。

  • 基礎学力の重視
  • 実験・実習・演習により育まれる実践力の養成
  • ハードとソフトの技術力の育成

このため、早くから専門分野になじめるように、専門科目への架け橋となる科目を1年次から導入しています。また、電気・電子・情報通信と多岐にわたる分野で共通して必要となる基礎科目を十分に理解し、応用できる能力を身につけることが不可欠です。そこで、「電気回路」、「電子回路」、「電磁気学」、「コンピュータプログラミング」などの基幹科目と、これらを理解するために欠かせない「応用解析学」の講義では、2クラスに分けてきめ細かく指導します。

理論と実践を兼ね備えたエンジニアの素養を育む

電気・電子・情報通信分野の基礎的で重要な内容については、講義だけでなく実験、演習も行っています。これらを通じて講義内容の理解を深め、理論と実践を兼ね備えたエンジニアとしての素養を高めます。2年次の秋学期から始まる電気電子情報実験は、Ⅰ(電気電子情報通信工学の基礎)、Ⅱ(電子回路と通信工学の基礎)、Ⅲ(電気システム系と電子物性系の基礎)の3段階に分かれています。実験の基礎を学ぶⅠから順に履修することで、電気電子情報工学の基礎を、実験を通して自然に学ぶことができるよう工夫されています。また、いずれの実験も2クラス制で実施し、学生全員へ丁寧な指導が行き届くよう配慮しています。実験においては、実験装置を扱うスキルの習得のほか、実験報告書(実験レポート)を作成します。それによって、将来必要となるグラフ・表を含む技術報告書の書き方の基礎も身につきます。

取得可能な主な資格

電気電子情報工学科で開講する所定科目の単位を取得して卒業すると、取得可能、あるいは取得のための条件が緩和される資格があります。第一級陸上特殊無線技士、第三級海上特殊無線技士の資格は、所定科目の単位を取得すると卒業後、申請によって取得可能です。また、電気主任技術者の資格は、試験に必要な科目の単位を取得し、卒業後一定の実務経験を積むことによって取得することが可能です。第二種電気工事士については、所定科目の単位を取得し卒業すれば、筆記試験が免除され、電気通信主任技術者に関しては、所定科目の単位を取得すれば受験の際に一部科目免除となります。また、試験に必要な所定科目の単位を取得し、卒業後一定の実務経験を積むことによって、技術士の受験資格を得ることができます。中学校教諭第1種(数学・理科)、高等学校教諭第1種(数学・理科)の資格は、所定科目の単位を修得して卒業すると取得可能ですが、卒業認定の対象となる科目群のほかに教職科目を履修する必要があります。