都市環境デザイン学科

自然と調和した都市システムを生み出すスペシャリストを育成。

建設技術についての理解を基礎として、人々が安全で快適に暮らせる空間づくりを学びます。専門性を高めるため、3つのコースを設置。実験や演習を通して、都市環境を構築するデザイン力と、都市づくりに活かされる創造力や経営力を身につけます。

学問の魅力

都市環境における安全で快適な空間を創造する

「都市環境」に関連する要素を広く学び、都市環境における安全で快適な社会空間を研究し、創造します。水、土、廃棄物といった都市環境の基本要素から、建造物の材料、設計、メンテナンス、さらに防災、地域経済、建設経営まで広く学び、都市環境を構築する力や都市づくりの創造力、実践力を養います。そして、安全で快適な生活を支える健全な都市システムを実現し、都市の持続的な発展につながる自然との共生を目指します。気候変動や自然災害の多発など、私たちの生活環境は大きく変わりつつあります。そのため、都市環境デザインに関連する高度な知識と実践力を有する技術者が、いま多くの分野で求められています。

学び方

自ら考え、答えを導き、実践する

社会基盤施設の老朽化、地球資源の枯渇、多発化する自然災害への対応などのさまざまな課題を解決し、安全で快適な生活を支える健全な都市システムを持続的に実現していくために、技術者に求められることは何でしょうか。それは自ら考え、答えを導き出すこと。そしてその答えを実践していく強い意志と技術力が、何よりも必要です。都市環境デザイン学科では、その実現のために必要となる豊富な知識と技術について体系的に学ぶためにことができる、建設業界で必須となる構造力学、水理学、地盤工学を基幹科目とし、さらに、専門性を高めるために、3つの科目履修のモデルコース(都市環境コース、都市創造コース、都市経営コース)を設けています。これに加えて本学科では、単なる知識・技術の習得にとどまらず、地域社会の問題を自ら見つけ、問題の本質や解決策の多様性を意識しながらその解決を試みる、実践の養成にも力を注いでいます。

新カリキュラムの特色

カリキュラムは、基盤教育、理工学基盤科目、専門科目などから構成されています。
都市環境デザイン学科では、将来の進路選択に合わせて、

  • 水、土、廃棄物といった都市環境の基本要素を学ぶ「都市環境コース」
  • 都市内の人工物の材料、設計、メンテナンスに関する知識を学ぶ「都市創造コース」
  • まちづくりの要素である地域行政、地域文化、国際建設マネジメントを学ぶ「都市経営コース」

の3つのコースを用意しています。専門科目は、各コースに共通する基幹科目である構造力学、水理学、地盤工学や、集大成の科目となる卒業研究科目などが含まれる必修科目、3つのコースに関連の深い選択科目からなります。学生は学びたいコースの科目を重点的に履修することになりますが、視野を広げるために他のコースの科目も幅広く学びます。また、学生の関心の高い防災分野の科目として「防災計画」、「都市防災学」を用意しています。これらの科目を履修することで、防災士の資格が取得できるよう計画しています。

グローバル化への対応

英語能力向上のための英語科目

  • 4年間継続して英語を学ぶ環境を整えるため、3・4年次に「Basic Technical English」、「Advanced Technical English」を新設、卒業要件単位数も従来の6単位から8単位としました。
  • 目的別に英語運用能力を鍛える演習形式の習熟度別クラスを実施し、週2回以上の履修を奨励しています。
  • 理工学で要求される基礎英語力の育成を目標とした必修科目として、1年次には「Writing Ⅰ/Ⅱ」、2年次には「Reading Ⅰ/Ⅱ」があります。また、応用英語力を鍛える選択必修科目として「Speaking Ⅰ~Ⅳ」、TOEICテスト対策の「Prep for TOEIC Test Ⅰ/Ⅱ」、TOEFLテストなど留学に必要な試験対策の「Academic English」も開設されています。
  • 国際的視野で考え判断できる能力を養うため、英語で行われる授業を設けています。「英語と文化」、「Japanese Culture and Thought」では自国文化・伝統と英語圏文化との比較・対照を、「Scientific Concepts in English」では科学的な物の見方を英語で学修します。また、長期留学を目標とした全学共通プログラムLEAP(Learning English for Academic Purposes)科目では、英語で表現する能力を鍛えます。

専門科目の英語での実施

「都市経営コース演習」では、学生に英語によるプレゼンテーションを課しています。その他の科目でも、キーワードとなる専門用語については、英語表記に慣れるよう指導しています。

4年間の学び

基礎を確立後、3つの選択コースで専門性を高める

健全な都市システム実現のために、都市と地域の「環境保全・創造のデザイン力」を持つ技術者を養成します。1年次に基礎を確立し、2年次からは、建設業界で必須となる構造力学、水理学、地盤工学を基幹科目として学ぶとともに、さらに、専門性を高めるために、水、土、廃棄物といった都市環境の基本要素を学ぶ「都市環境コース」、都市内の人工物の材料、設計、メンテナンスに関する知識を学ぶ「都市創造コース」、地域行政、地域文化、国際建設マネジメントを学ぶ「都市経営コース」の3つの履修モデルコースを参考にしながら、自分の興味や適性に合った科目を履修し、専門性を高めていきます。そのほかにも、さらに広範で多様な領域をカバーするための豊富な選択科目を履修することができます。この間、同窓会や地域と連携した地域連携実習インターンシップ制度などを活用して実社会における実践力を学ぶこともできます。4年次には、これらの集大成として卒業研究に取り組みます。優秀な卒業研究の成果は、学協会等での発表や企業とのコラボレーションなどを介して、広く実社会へ還元されます。

卒業論文のテーマ例

  • ライフラインの経年劣化と維持管理の研究
  • 液状化によるマンホール浮上解析と浮上防止工法の開発
  • 救急救命ライフラインの地震時信頼性評価技術の開発
  • 災害時の住民避難行動に関する研究
  • 効果的なハザードマップの作成方法に関する研究
  • 地中土留壁の改良に関する研究
  • 竹廃材を用いた地盤改良に関する研究
  • CO2吸収コンクリートの性能評価に関する研究
  • 高強度コンクリートのワーカビリティーに関する研究
  • 写真などからの三次元計測の精度評価と応用事例
  • BIM/CIMによるモデルの三次元GISへの展開
  • 魚道機能向上策の検証と改良に関する研究
  • 治水構造物水制が有する環境機能に関する研究
  • 一般廃棄物発生量の変動要因の解析
  • バイオマス利活用の費用便益分析
  • 小規模生活排水処理システムの海外適用性に関する研究
  • 「広告物活用地区」における景観に配慮した屋外広告物の評価
  • 江戸後期における兼六園の水みちの変遷に関する研究
  • まちづくり活動におけるコミュニティ形成プロセスのネットワーク分析
  • 水資源をめぐる紛争解決と秩序変遷プロセスに関する研究  など

学びの取り組み

1年生懇親会

例年、新入生を対象に懇親会を行っています。これは新入生個々が将来像を考える第一歩であり、そして大学生活を有意義かつ円滑なものとするために、同学年同士の繋がりを深めるきっかけにもなる行事です。また、ほぼ全員の学科教員が参加するので、履修方法に関する質問や大学生活に関する不安など、講義では直接話しかけにくいようなプライベートな内容も、ざっくばらんに相談できる場としても利用されています。さらには、研究室に所属する4年生や大学院生も参加するため、先輩へ質問したり、先輩からの種々のアドバイスを受けたりといった交流の場でもあります。例年では、平日の講義の合間の昼休み時間帯を利用して開催しており、和やかな雰囲気の中でそれぞれ親睦を深めています。

同窓会との連携

本学科では同窓会との連携に注力しています。各業界で社会人として大いに活躍できる人財となるためには、現場の課題を自ら発掘し、的確に解決できる実践力を身につけることが重要となります。つまり、講義などで学んだ知見の習得だけでなく、それをいかに応用し、組み合わせ、実践していくのかという積極的な姿勢が求められます。このような姿勢を育むために、同窓会等を介し、各分野の実社会で活躍されているOB・OGの皆さんのご協力をいただいています。2年生および3年生を対象としたOB・OGとの対話集会、業界研究会、インターンシップ、演習授業、現場見学会などは、同窓会と連携して開催しているものです。多彩な催しは、学生が有意義な刺激を受け、多くの学びを得られる貴重な機会です。本学科におけるほぼ100%というきわめて高い進路決定率は、このような種々の取り組みによる成果の一端でもあると考えています。

女子会のサポート

近年では緩和されつつあると言われるものの、依然として女子がややマイノリティーであるという点は、いまだ建設に関連する業界の特徴のひとつとして挙げられています。これに対して本学科では、有能な学生であれば男性であれ女性であれ、分け隔てなく大いに活躍して欲しいというのが強い希望であり、基本スタンスとしています。しかし、本学科の入学者の中で女性が占める割合は、必ずしも大きくはないのが実情です。このことを踏まえ近年では、女子学生が一定割合を安定的に占めるに至るまでの措置として、そして円滑な大学生活を送るための人的ネットワーク形成の一助として、女子学生自らによって企画運営される「女子会」を、学科としてサポートする体勢を整えています。この会をきっかけに積極的かつ有意義な情報交換が行われるなど、女子会は女子学生から好評を博しています。