教育 Education Business Report
自己の哲学を持ち、
未来を切り拓く力を備えた人材を育成
14学部49学科・専攻を有する総合大学である東洋大学は、教育理念である「諸学の基礎は哲学にあり」を原点に、変化の激しい時代の中で「哲学」によるものの見方・考え方を育てる教育を行ってきました。専門的かつ横断的に学べる環境を整え、物事の本質を理解し未来を切り拓く力を持った人材の養成を目指します。
学生・教員の研究成果が高い評価を獲得
社会の発展に貢献する

樺澤一真さん(右)/研究指導をした責任著者の草間裕介准教授(左)
東洋大学の学生・教員は、学会で賞を授与されるなど、学外から高い評価を得ています。理工学研究科・電気電子情報専攻博士前期課程の樺澤一真さんは、電子情報通信学会通信ソサイエティ部門の国際会議・ICETC2023においてポスター発表を行い、Student Presentation Award (Poster)を受賞しました。回折公式として知られているキルヒホッフ-ホイヘンスの式を開口からの電磁波の回折問題に適用し、FDTD法と比較して高速に計算できることを明らかにした点が認められました。また、2023年6月には、情報連携学部の坂村健教授率いるプロジェクトチームが開発した「TRONリアルタイムOSファミリー」が、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)からIEEEマイルストーンとして認定を取得。このOSは、IoT環境が一般化した時代を見据え、組込みシステムの効率的な開発環境を確立するために1984年からつくられたもので、現在も広く使われています。当時は珍しいオープンイノベーション型のプロジェクトとして研究が進められ、社会や産業の発展に大きく貢献したことが評価されました。
2023年度の受賞・表彰
大学院博士後期課程の学生を支援し
イノベーションの未来を担う
多様な人材を育成

2023年の3・4期生採用式・研究報告会では矢口学長からエールが送られた
東洋大学は国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の「次世代研究者挑戦的研究プログラム」(SPRING)に採択されており、次世代の研究者養成に注力しています。このプログラムは、博士後期課程の学生が研究に専念できる環境を整備し、日本の科学技術の発展に寄与する卓越した博士人材の輩出を目指す事業です。選抜された博士後期課程学生に対する生活費相当額および研究費の支給や、キャリア開発・育成コンテンツの提供を始めとする多様な支援を行います。本学では2021年から2023年の3年間で「人間の安全保障分野における研究成果の社会実装支援プロジェクト」が実施され、15名の博士後期課程の学生を採用し支援を行ってきました。また、2024年度からは「健康と人間の安全保障のための哲学を持つ多様な挑戦的研究者育成プロジェクト」が新たに採択され、さらなる博士人材の多様なキャリアパスの整備を行います。具体的には、トランスファラブルスキル(移転、応用可能なスキル)の醸成や、卓越した研究者によるメンタリング、インターンシップの強化を行い、アカデミアでの活躍ばかりでなく、行政や民間を含めた幅広い領域で活躍を推進。引き続き日本の科学技術・イノベーションに貢献できる人材の育成を行っていきます。
産学協同プロジェクトを通して
大学での学びを社会で実践

湯津上小学校、佐良土小学校、蛭田小学校(大田原市)3校の児童と交流
「新春」をテーマにした伊勢丹新宿店ショーウィンドウディスプレイ
授業などで身に着けた知識を実践的にアウトプットする場として、地域や企業と連携した産学協同プロジェクトを実施しています。2023年度は、経営学部の蜂巣ゼミと食環境科学部の露久保研究室が栃木県大田原市の小学校3校の閉校・統合にあたり、大田原市役所と連携したイベント「想い出給食」を実施。クラウドファンディングやイベントでのフード販売を通じて資金を集め、給食に使用する食材を調達し、学校に寄附しました。それだけでなく、パンフレットやWEBサイトの制作や当日のイベント運営などにも携わりました。また、人間環境デザイン学科の学生は、株式会社スタジオアルタ・株式会社丹青ディスプレイと共同で伊勢丹新宿店のショーウィンドウディスプレイの装飾に挑戦。ディスプレイの意義や効果を学ぶと共に、デザインや材料調達、制作を行いました。他にも、ライフデザイン学部(2023年度より福祉社会デザイン学部)の学生がお雑煮専門店「銀座もちふじ」のロゴデザインを制作するなど、クリエイティブな活動が広がっています。
学内英会話講座無償化や
多様な奨学金制度を用意
多文化共生グローバル人材を育成

マンツーマンレッスンを含む多彩な講座で語学力向上を目指す
世界に目を向け、見聞を広げ実践した“旅する哲学者”である創立者井上円了の姿勢を継承し、東洋大学では世界で学び、世界に学ぶための支援が充実しています。2024年4月からは株式会社ECCと連携した学内英会話講座を無償で開講。少人数制グループレッスンやマンツーマンレッスンを毎日開講しており、英語力向上の一助となります。また、留学希望の学生を支援するため、最大300万円を支給する多様な奨学金制度を用意。語学研修やインターンシップなど、自身の希望するレベルに合わせて海外留学にチャレンジできます。さらに、文部科学省の「大学の世界展開力強化事業」に採択された「ビジネス日本語教育を通じた高度日本語人材と多文化共生グローバル人材の育成プログラム」も展開しています。海外連携大学の日本語専攻と連携し、国際的な課題解決に貢献できる学生や、多文化共生のために協働できるグローバル人材の育成に取り組みます。
「主活力」を身に着ける
キャリア支援と就職支援により
希望するキャリアパスを実現

就職・キャリア支援課に設置されているWeb面接用の個室ブース
東洋大学では、学生自身が主体的に考えて行動できる力「主活力」の向上を軸に、キャリア支援・就職支援を行っています。企業の皆さまからのアンケートでは、「東洋大学の卒業生が有していると思う能力」のトップ1が主体性でした。主活力を培うために、様々なプログラムを実施しています。その1つが、全学部の1年生を対象として、デジタル技術やビジネススキルを学び、DX人材を目指すオンライン講座「東洋大学キャリア・オナーズプログラム」。ビジネスプランを立案し企業から評価を受ける中で、自身の強みや課題を自覚し、自らをアップデートし続ける力を養成します。本プログラムを受講後、自ら起業をする学生も増加しています。また、人気企業や各業界のリーディングカンパニーへの就職を目指して、早期より対策を始める「UP講座」など、様々な施策を展開。時代の変化に柔軟に対応しうる知性や徳性を備え、キャリア実現のために学生が“自走”できる力を身に着けられるよう、サポートを続けていきます。
教員同士で優れた取り組みを共有
知見を深め教育の質向上を目指す

2023年度は12組・24名に「東洋大学優秀教育活動賞」が授与された
学生により良い教育を提供するため、大きな教育効果を与えた活動を企画・実施した教員に対して、「東洋大学優秀教育活動賞」を毎年授与しています。優れた取り組みを全学に普及させるため、2017年度から始まりました。また、「学長フォーラム」では、各学部・研究科の教育の質向上を目的とした様々なテーマを設定し、ディスカッションを実施。2023年度は「150周年を見据えた東洋大学の未来」と題して新たな中期計画(2024~2028年度)の方針を示し、さらに発展させるための議論を行いました。国際化の推進や、学部・研究科における中長期計画の実施状況について、議論を通して共有を深めます。その他、数理・データサイエンス・AIに関する授業を全学生が学ぶ体制の整備や、学生自身が獲得した学修成果を把握できるシステムの開発など、学生一人ひとりの成長を保証するための教育の質向上を目指した取り組みを進めています。