東洋大学 TOYO COMPASS 2024 TOYO UNIVERSITY REPORT

Message

理事長・学長メッセージ

大学が目指すべき未来

Takashi Anzai

学校法人東洋大学 理事長 安齋 隆

学校法人東洋大学 理事長安齋 隆
Profile1941年生まれ。東北大学法学部卒業。日本銀行、(株)日本長期信用銀行(現・(株)新生銀行)頭取、(株)アイワイバンク銀行(現・(株)セブン銀行)社長などを経て、2009年12月学校法人東洋大学理事に就任し、2018年12月から現職。
Management

常に変化し、
大学として進歩を続ける

社会のニーズに的確に対応した運営を推進

地球温暖化に起因する異常気象や、生成系AIをはじめとするデジタル領域の急速な進化など、変化が激しく予測困難な現代社会。今後も学校法人が発展していくためには、各校を取り巻く環境や学生のニーズの変化に対して、的確な対応が求められています。“変化なくして進歩はない”と強く感じると共に、この危機感を大学や附属校の良い変化に結び付けていければと思います。安定した大学運営のためには、「選ばれる大学」になることが最優先事項です。重ねて、教育の質を向上させ、学生や保護者からの評価も高めなければなりません。「教育」には“teach”と“educate”の2種類があり、教える“teach”とは違い、大学は主体的に学ぶ“educate”です。新学習指導要領でアクティブ・ラーニングの視点を学んできた学生たちのニーズに応えるべく、主体的に物事の真理を探究できる学びができるよう、東洋大学は常に変化を続けてきました。その成果は、学生や卒業生の活躍として表れていると思っています。大学には、次世代を担う若者が絶えず入学し、学び続けるのですから、教職員も学生に負けず、変化を拒まずに知識をアップデートしていく必要があると考えます。
東洋大学は創立者井上円了の目指した「余資なく、優暇なき者」のための「社会教育」と「開かれた大学」の理念を継承し、リカレント教育にも注力して日本の社会人教育の一翼を担ってきました。ただ教育を提供するだけではなく、社会のニーズにあわせて内容を変化していることが、社会から評価をいただいている理由であると考えています。

オール東洋で教育の質向上に努める

東洋大学は、「AA」の格付けを取得し、健全経営で運営しています。コロナ禍では、オンライン授業実施に伴う学習環境の整備のために、一人一律5万円、総額15億円の特別修学支援金を給付しました。安定した経営状態だからこそ、教育環境への投資や学生のサポートが可能なのです。また、経営基盤の安定は良い教員の獲得および教育の質向上にもつながります。日本にはインフレの波が来ており、各種経費の高騰は悩みの種ではありますが、教育の質を向上させる努力は決して怠りません。
戦争や権威主義国家の台頭による国際社会の分断が進む中、東洋大学は附属校とともに「オール東洋」として団結し、未来を拓いていきます。文理の垣根を超えて協働し、デジタル技術を活用してつながりを深め、分断が進む世界を良い方向に変えられればと思います。

※学校法人東洋大学は、2024年1月17日に、株式会社日本格付研究所(JRC)より、長期発行体格付の「AA」を取得し、その見通しは「安定的」と評価されました。

Etsuko Yaguchi

東洋大学 学長 矢口 悦子

東洋大学 学長矢口 悦子
Profile1956年生まれ。お茶の水女子大学大学院人間文化研究科(博士課程)単位取得満期退学。博士(人文科学)。専門分野は社会教育学・生涯学習論。複数大学の非常勤講師および他大学教授を経て、2003年4月から東洋大学文学部教授。文学部長などを歴任し、2020年4月から現職。
Education

哲学を基礎として、
一人ひとりの個性を磨く

哲学する精神と幅広い知識を探究する学生を育成

東洋大学は哲学者井上円了によって創設され、「諸学の基礎は哲学にあり」「独立自活」「知徳兼全」を建学の精神としています。教育を通して、自己の哲学(人生観・世界観)を持ち、時代がどんなに大きく動いたとしても物事の本質を見極めて深く考え、社会課題に自主的に取り組める学生を育成したいと考えています。私たちが未来を創るためには、“過去に学ぶ”ことが必要不可欠です。AIをはじめとするデジタル技術を用いて効率よく知識を得るだけでなく、哲学する精神を忘れず、未来へと自ずから踏み出す学生を育てていきます。
未来を拓く学生を育てるために、東洋大学は次の3点に注力しています。1つ目は、大学改革です。2024年4月に、朝霞キャンパスが生まれ変わりました。命と食に関わる新しい教育・研究に挑戦し、改革を続ける大学でありたいと思います。2つ目は次年度に向けた大規模なカリキュラム改革です。キャンパスや文理の垣根を超えた「総合知」獲得のための学びが可能になるよう、カリキュラムの再編を検討しています。学びの在り方を大きく変える試みにご期待ください。3つ目はスポーツを通じたキャンパス文化の醸成。2024年に開催されるパリオリンピック・パラリンピックに、在学生やOBOG等10名以上出場予定です。アスリートの支援だけでなく応援にも力を入れ、平和の祭典に貢献します。

多様性あふれる教育や研究を推進

教育・研究に関する中長期計画では、5つの柱を定めて取り組みを進めています。1つ目は学生の学びを支えるシステムの開発です。3万人以上の学生が一人ひとり豊かな学修機会にたどり着ける羅針盤のようなシステムを目指し、教育DXを推進します。2つ目はキャリア支援です。多様性にあふれる学生一人ひとりのキャリア展望を意識し、3万通りのサポートを行います。3つ目は大学のグローバル化です。文部科学省のスーパーグローバル大学創成支援事業終了後、これまでの成果をさらに発展させるべく、SDGsと掛け合わせ社会課題の解決につなげていきます。4つ目は大学のブランド力を強化する研究活動です。14学部49学科を擁する総合大学のメリットを生かし、文理の枠を超えた独創的な研究を推進。創立者の教えを受け継ぎ、本学の理念を体現するために、全学的な組織を新設し、研究の集約と哲学的考察を行います。5つ目はリカレント教育。社会人のリカレント/リスキリング需要に応えられるプログラムを整備し、世界中の人々に対して東洋大学の学びを提供します。
東洋大学の魅力は、多様性をお互いに認め合える環境です。哲学というしっかりとした土台があるからこそ、学生や教職員の個性が花開くのです。個性のパラダイスである東洋大学が創る未来に、ぜひ注目していただきたいと思います。