研究 Research Business Report
文理の垣根を超えた先端研究を推進し、
社会の課題解決や未来社会の実現に貢献
東洋大学では、総合大学の特性を活かし従来の学問分野の枠にとらわれない文理融合型の研究プロジェクトを推進し、持続可能な社会を切り拓くための多様な研究を行っています。
それらの研究成果を社会に還元し、より良い未来社会の実現に役立てています。
先端的かつ独創的な研究を重点的に助成し
世界水準の大学へと発展
2024年度は11の研究プロジェクトが進行中
超スマート社会の到来に向け、先端的な研究を促進するために2018年に創設された「東洋大学重点研究促進プログラム」。研究領域を超えた文理融合型で学際的なプロジェクトチームとして取り組む研究で、かつ本学の研究ブランド力向上に資するプロジェクトを支援しています。「バイオミメティクス活用による高機能かつ持続可能なものづくり」では、生物の持つ優れた構造や機能など解明し、新たな技術を生み出す「バイオミメティクス」を活用。科学や医学などの様々な分野で、持続可能なものづくりに活かす研究が進んでいます。「東洋大学のブランド力向上のための分野横断型アスリートサポート研究」では、アスリートがパフォーマンスを最大限に発揮するための生理学的な研究に加え、メンタル面やキャリア支援など幅広いサポートを実施。人文・社会科学、自然科学とスポーツ科学が融合した分野横断的な研究を進めています。
進行中の東洋大学重点研究プログラム(2024年6月現在)
タイトル | 研究代表者 |
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福祉社会における新たな価値の創発と支援システムの構築 | 志村健一教授(福祉社会デザイン学部社会福祉学科) |
安心な水を未来へ ~有用細菌による排水処理技術の開発と普及に向けて~ | 井坂和一教授(理工学部応用化学科) |
レジリエントな社会に向けたSDGsの包摂的実現に関する研究 | 松丸亮教授(国際学部国際地域学科) |
日常生活を豊かにするためのデジタルトランスフォーメーション(DX)の研究 | 中村周吾教授(情報連携学部情報連携学科) |
東洋大学のブランド力向上のための分野横断型アスリートサポート研究 | 加藤和則教授(健康スポーツ科学部栄養科学科) |
生育のdiversityを生むメカニズムの解明とwell-beingな社会の実現に向けた支援体制の構築 | 児島伸彦教授(生命科学部生命科学科) |
未来を拓くバイオミメティクス | 合田達郎教授(理工学部生体医工学科) |
責任ある研究・技術開発に向けた多文化的ELSIの組織化 | 松浦和也教授(文学部哲学科) |
生活も仕事も充足して継続できる社会の実現に向けた、職業キャリアの実証研究 | 西野理子教授(社会学部社会学科) |
極限環境微生物の先端科学をSDGs達成のために社会実装する研究 | 伊藤政博教授(生命科学部生命科学科) |
後継者の精神的健康とレジリエンス: 地域連携を活用した文理融合アプローチによるレジリエンス促進プログラム開発と事業承継支援 |
山本聡教授(経営学部経営学科) |
AIツールで詐欺被害を防ぐ
産官学連携でより良い社会を実現
特殊詐欺推定AIモデルのイメージ
東洋大学は積極的に産官学連携を行い、社会に研究成果を還元しています。その一つが、社会学部社会心理学科の桐生教授らが富士通株式会社・兵庫県尼崎市と連携した、特殊詐欺防止に関連した共同研究です。「特殊詐欺推定AIモデル」は、カメラやミリ波センサーなどの非接触センサーを通じて、被害者が騙された状態であることを推定。高い詐欺被害リスクが検知された場合には、家族などのスマートフォンにアラート通知を行い、詐欺被害を未然に防止します。また、「訓練AIツール」を用いれば、特殊詐欺の手口を模倣したAIトレーナーとの通話でリアリティのある訓練が可能。高齢者に疑似体験を提供することで防犯意識の向上を促し、安心安全な生活を送れる環境づくりに貢献します。その他、国や民間企業などと連携し、数多くの共同研究や受託研究を行っています。
進行中の産官学連携プロジェクト(2024年度)
所属 | 連携先 | タイトル |
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社会学 | 富士通株式会社 尼崎市 |
特殊詐欺検知AI技術に係る共同研究に関する協定 |
生命科学部 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 | 放射線抵抗性細菌の放射線耐性遺伝子に関する研究 |
福祉社会デザイン学部 | 株式会社agbee | 産業用ロボットの意匠開発におけるプロトタイプの手法とその効果に関する研究 |
福祉社会デザイン学部 | 独立行政法人都市再生機構 株式会社URコミュニティ 日本総合住生活株式会社 |
地域の人々がゆるやかにつながる場(コミュニティ拠点)のあり方とその持続可能な運営の仕組みづくりに関する共同研究 |
福祉社会デザイン学部 | スミダ電機株式会社 | ベクトルポテンシャルを用いた骨量維持支援機器の研究 |
福祉社会デザイン学部 | 公益財団法人日本ラグビーフットボール協会 | 日本代表を目指すラグビープレーヤーの体格基準・目標値作成のための基礎研究及び計測方法の普及ーISAK法にて― |
情報連携学部 | 日本電信電話株式会社社会情報研究所 | Society5.0時代に向けた新技術分野(IoT,AIなど)に関するサイバーリスクの実証やセキュリティ対策の共同研究 |
生命科学部 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 国立大学法人東京大学 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
耳石・筋肉・脊椎骨の多元素・同位体組成分析によるサケ属魚類の回遊生態の解明 |
社会学部 | 大学共同利用機関法人人間文化研究機構 | グローバル地域研究推進事業のうち「グローバル地中海地域研究」プロジェクトにおける「グローバル地中海地域研究」 |
社会学部 | 大学共同利用機関法人人間文化研究機構 | グローバル地域研究推進事業のうち「海域アジア・オセアニア研究」プロジェクト」における「海域アジア・オセアニアにおける海辺居住のレジリエンス」 |
酒造会社や化粧品会社と連携し
新しい製品を商品化
ハンドクリーム商品化のため
クラウドファンディングを実施
花酵母独特の香味を
持った辛口の味わい
産学連携プロジェクトから、製品開発へと発展している事例もあります。理工学部の峯岸准教授は、有限会社佐藤酒造店と連携し、川越キャンパスに自生する草花を活用した新しい日本酒を開発。2024年3月から、ヤマユリと梅の花酵母を使用した2種類の日本酒を開発・製品化しました。生命科学部三浦研究室を中心とした学生団体「TOYO SDGs Students Project ~SUGOMORI BOISEN Project~」は、WIPO GREENのデータベースに掲載された資生堂特許ライセンスを活用し、株式会社シーエスラボと連携してボイセンベリーを用いたハンドクリームを開発。環境に優しい製造工程やパッケージにもこだわり、クラウドファンディングを通じて商品化を実現しました。