月別アーカイブ: 2016年12月

この授業では、学生たちが、社会のさまざまな課題から関心のあるテーマを選び、その問題を解決するためのアイデアを探し、グループで発表します。黒板に書かれた内容を理解せずにただノートに取るような受け身の授業ではなく、自分たちで考えたアイデアを形にしていくことがねらいです。自分が主人公になること、今まで経営学部で学んで来たことをフルに生かすこと、そして自分たちが考えたアイデアが人の共感を得られるようグループで知恵を絞って成果物を作っていくという、3つのチャレンジがある授業です。1つのグループは「日本のソーシャルビジネスと労働問題の現状」を取り上げ、労働者の間で格差が広がり、一人一人が分断されているという現状から、労働者同士の横のつながりを大切にするため、定例の労働組合登録会の開催を提案しました。別のグループは、日本における子どもの貧困について調べ、「基本的な教育やきちんとした職業訓練を受けて、将来自立できる仕組みを整えることが国として重要」であると発表しました。発表した学生たちからは「自分の考えを大勢の前で発表したことが貴重な体験になった」「考えるだけでなく、実際に行動に移すことが大切」「この授業が考えるきっかけを与えてくれて、世の中に対する問題意識が強くなった」といった声があがりました。
みなさんにはアイデアを出していくこと、それを世の中に伝えていくことを忘れないでほしいと思います。アイデアは心の中にしまっておかず、どんどん外に出していくことを心掛けてください。

関連コラム:ソーシャルビジネス実習講義 プロジェクト報告会

ph-kawasaki.jpg

川﨑 健太郎教授経営学部 会計ファイナンス学科

  • 専門:国際金融、国際通貨、国際マクロ経済学

「超好熱菌」は、80℃以上の高温環境を好む菌です。DNAは人間と同じなのに、人間がやけどをしてしまうような高温で生育するのはなぜなのでしょうか。
超好熱菌が生育している環境に、深海底から熱水が湧き出ているチムニーなどが挙げられます。太陽の光が届かなくても生育することが可能であるならば、地球外の天体でも生命体がいると考えられます。太陽系で、その可能性がある天体の1つが、木星の衛星であるエウロパです。厚い氷の中に液体の水があると考えられており、水蒸気が出ているというNASAの報告もあります。つまり、エウロパの海底に熱水があれば、超好熱菌が存在する可能性があるのです。もう1つは土星の衛星であるエンケラドスで、間欠泉が出ています。液体の水が温められているので、ここにも超好熱菌がいるかもしれません。地球以外で超好熱菌が発見された場合、地球の超好熱菌と比較することで、生命のさらなる理解につながります。また、その耐熱化機構を理解できれば、超好熱菌の特徴を生かし、さまざまな産業に生かすこともできるでしょう。我々生物の共通の祖先ではないかと考えられる超好熱菌について探っていくことで、進化の源流をさかのぼることができるのではないかと、現在研究を進めています。

ph-higashibata.jpg

東端 啓貴准教授生命科学部 生物資源学科 極限生命材料工学研究室

  • 専門:応用微生物学、超好熱菌由来酵素の生化学的解析

英語ができる人は辞書を早く引ける、という私の考えをお話します。英語がわかる人は、文法がよくわかっている人だと思います。辞書は文法をベースに書かれているので、文法を知っていると辞書を早く引けるのです。ですから、英語ができる人は辞書を早く引ける、と考えるのです。例えば「room」という名詞が文章中に出てきたとき、英語ができる人は、文中の用法を見てこれが可算名詞か不可算名詞かすぐにわかります。そのため、辞書を引く際、「room」全体を見なくても、不加算名詞の部分だけを探すので無駄がありません。また、形容詞の「certain」は、辞書に先に出てくる叙述用法の「確かな」を覚えがちですが、実はさらに読み進めると、限定用法の「ある一定の」という意味があります。文法がわかっていればすぐにそこにたどり着けるのです。そして、英語の動詞は日本語と違って、自動詞と他動詞の形がほとんど変わらないため、一見区別が困難です。しかし英語がわかる人は、どちらかを判断できるので、自動詞か他動詞かを目印に、辞書の正しい場所に調べにいくことができます。
辞書は文法的な特徴に基づいて、用法や意味などが分類され記述されていますから、早く、うまく、正しく引くには、文法をよく知っていることが大事なのです。

ph-akasu.jpg

赤須 薫教授文学部 英米文学科

  • 専門:英語学(日英対照・社会言語学・辞書学)

制御工学とは、機械やロボットを自動で動かすために必要な学問です。数式などを用いて客観的、体系的にシステムの運動を解析し、「制御則(ルール)」を決定します。人は情報を受け取るために目や耳などの感覚器を使い、脳は受け取った情報から次の動きを決め、それに応じて筋肉が動きます。これを機械やロボットで行う場合、コントローラ(脳)がセンサ(感覚器)からの情報に応じて、どのようにモーター(筋肉)を動かすかというルールを組み込みます。それが制御則です。自転車の運転を例に、制御則について考えてみましょう。自転車の位置やハンドル操作を、式で表し、数値を設定し、それをグラフにします。すると、今いる位置から目標コースに近づいたり離れたりする様子が分かります。これを検証して出した、目標コースに収束する(限りなく近づく)条件を数式に当てはめると、理論的にも正しいことを保証することができます。
ロボットや機械が動くと楽しいものです。しかし「楽しい」だけで終わらせず、理論に基づいて制御則を考えて行くと、高い制御性能・効率的な制御系設計を行うことができるようになります。制御工学を勉強して、さまざまなものを自分の思い通りに制御してみましょう。

ph-yamaka.jpg

山川 聡子教授理工学部 機械工学科 制御工学研究室

  • 専門:制御工学、ロボットや非線形系の制御、人の特性を考慮したシステム制御

身近な現象は、数字や数式で表すことができます。その例として、3つのトピックを紹介します。1つめは「美しさを表す数」です。フィボナッチ数列の、隣り合う2つの項の比の極限値は1:1.618…となり、黄金比と呼ばれています。星形にも黄金比が含まれていますし、名刺の長方形の短辺と長辺も黄金比に近いといわれています。左が本文、右がメニューというウェブサイトも、黄金比を使って区切るとバランスよくなります。黄金比を知っているときれいなものをデザインすることができる、まさに美しさの基本となる数です。2つめは「波を理解する数学」です。音や光は波なので、三角関数で調べることができます。例えば2つの音を重ねるとどんな音になるのか、数学的に計算できます。また、ある音の波と、反転するような波を重ねると音が消えます。この発想から生まれた商品が、ノイズキャンセリングイヤホンです。3つめは「指数」についてです。厚さ1センチのガラス1枚に光を当てると、光の強さは0.9倍になると仮定します。指数関数でN枚のガラスに光を当てると、0.9のN乗倍光が減少することが分かります。水族館などでは、光ができるだけ入り、かつなるべく大きな水槽を作ることができるよう、ガラスの厚さを対数関数で逆算し、求めることができます。
より高度な数字や数式によって、より多くの現象を理解でき、コントロールすることができます。豊かな社会の基盤には、数学は必要不可欠といえるのです。

ph_yamazaki.jpg

山崎 丈明教授理工学部 電気電子情報工学科

  • 専門:数学、基礎解析学