「超好熱菌」は、80℃以上の高温環境を好む菌です。DNAは人間と同じなのに、人間がやけどをしてしまうような高温で生育するのはなぜなのでしょうか。
超好熱菌が生育している環境に、深海底から熱水が湧き出ているチムニーなどが挙げられます。太陽の光が届かなくても生育することが可能であるならば、地球外の天体でも生命体がいると考えられます。太陽系で、その可能性がある天体の1つが、木星の衛星であるエウロパです。厚い氷の中に液体の水があると考えられており、水蒸気が出ているというNASAの報告もあります。つまり、エウロパの海底に熱水があれば、超好熱菌が存在する可能性があるのです。もう1つは土星の衛星であるエンケラドスで、間欠泉が出ています。液体の水が温められているので、ここにも超好熱菌がいるかもしれません。地球以外で超好熱菌が発見された場合、地球の超好熱菌と比較することで、生命のさらなる理解につながります。また、その耐熱化機構を理解できれば、超好熱菌の特徴を生かし、さまざまな産業に生かすこともできるでしょう。我々生物の共通の祖先ではないかと考えられる超好熱菌について探っていくことで、進化の源流をさかのぼることができるのではないかと、現在研究を進めています。

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東端 啓貴准教授生命科学部 生物資源学科 極限生命材料工学研究室

  • 専門:応用微生物学、超好熱菌由来酵素の生化学的解析
  • 掲載内容は、取材当時のものです