身近な現象は、数字や数式で表すことができます。その例として、3つのトピックを紹介します。1つめは「美しさを表す数」です。フィボナッチ数列の、隣り合う2つの項の比の極限値は1:1.618…となり、黄金比と呼ばれています。星形にも黄金比が含まれていますし、名刺の長方形の短辺と長辺も黄金比に近いといわれています。左が本文、右がメニューというウェブサイトも、黄金比を使って区切るとバランスよくなります。黄金比を知っているときれいなものをデザインすることができる、まさに美しさの基本となる数です。2つめは「波を理解する数学」です。音や光は波なので、三角関数で調べることができます。例えば2つの音を重ねるとどんな音になるのか、数学的に計算できます。また、ある音の波と、反転するような波を重ねると音が消えます。この発想から生まれた商品が、ノイズキャンセリングイヤホンです。3つめは「指数」についてです。厚さ1センチのガラス1枚に光を当てると、光の強さは0.9倍になると仮定します。指数関数でN枚のガラスに光を当てると、0.9のN乗倍光が減少することが分かります。水族館などでは、光ができるだけ入り、かつなるべく大きな水槽を作ることができるよう、ガラスの厚さを対数関数で逆算し、求めることができます。
より高度な数字や数式によって、より多くの現象を理解でき、コントロールすることができます。豊かな社会の基盤には、数学は必要不可欠といえるのです。

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山崎 丈明教授理工学部 電気電子情報工学科

  • 専門:数学、基礎解析学
  • 掲載内容は、取材当時のものです