電気電子情報工学科

明日の地球につながる技術

ナノ界面物性工学システム(山口明啓 教授)

ナノ構造の精密制御による機能性デバイスの創出と応用

私たちが使っているスマートフォンやパソコンは、シリコンという、とてもありふれた材料を99.999999999 %という純度まで高め、ナノメートル(1ナノメートルは、1メートルの10億分の1メートル)の大きさで構造を制御して作製することで演算や記憶装置としての機能を作り出して統合化することで生み出されます。ナノスケールの大きさにすると、表面や界面での電子状態や化学状態が大きく変化するだけではなく、界面に電圧などを加えることで、その状態を制御することが可能になります。
私たちの研究室では、このようにナノ構造体を設計し人工的に構築することで、新しいデバイスやシステムを創製し、そのデバイスを動作させる科学的機構を明らかにし工学応用を実現することを目指しています。具体的には、例えば、鉄やニッケルなどの強磁性体とプラチナなどの重元素を原子オーダーで積み重ねたデバイスを構築することで、量子効果を室温で発現させて次世代通信で用いられる電波を発振したり検出するような素子を作製し、その特性評価を行ったりしています。また、電池や燃料電池では電気と化学の反応が相補的に起こることで、エネルギーを貯めたり、放出したりします。この電気化学反応では、ナノ構造を形成すると表面積が大きくなりますので、大きな反応効果が生み出されます。さらに、ナノ構造体が持つ光との相互作用を利用することで、電気化学反応中の化学状態分析などが可能になります。これらのことを利用して、ナノ構造電極表面付近での電池や触媒反応の化学反応状態について、デバイスを動かしながら、その反応機構の究明や素子性能の向上を図っています。このデバイスは、ナノ構造体が有するプラズモニクスの性質を利用することで、バイオセンサーなどへも展開することができ、癌やその他の病気の発現機構の解明や細胞間情報通信の機構解明への展開も目指しています。また、ナノ構造体のプラズモニクスを積極的に利用することで、サイバー空間とフィジカル空間をつなぐ新しい情報セキュリティ技術などの研究開発も進めています。

この研究室を希望する方へ

まずは、身の回りにあるものに興味を持って、それらがどのような原理で動いているのか?どのような方法で作っているのか?など、疑問を持ってほしいと思います。疑問を抱いたら、自分で調べてみて原理を理解します。原理が理解できれば、その原理を用いて、自分なら、こんなデバイスを作ってみたいとか予想を立てたことが実際に起こるのか確認してみたいという気持ちを持ってほしいと思います。
その気持ちを研究室や自分の周りにいる人たちにも広げて、友人や周囲の人にも興味を持ってほしいと思います。自分が社会のシステムの中にいるということを認識することで、自分がどんな未来に向けてキャリアパスを描くのかがイメージできるようになります。
朝、研究室に来たら、おはようと挨拶して、気持ちよく研究できるようにしてほしいと思います。整理整頓を心掛けて、施設を綺麗に利用しましょう。