将来のエネルギー源として考えられている宇宙太陽発電衛星(SPS)というシステムについて、また、そのシステムの根幹となっている無線電力伝送技術について說明します。
これまで、電気を送るためには電線が必要でしたが、現在では、電波で電気を送る無線電力伝送技術が進んでいます。この技術において使用されているアンテナを「レクテナ」といい、レクテナが電波を電力に変換しています。この技術はすでに実用化されており、身近なところでは、自動改札機とICカードのシステムで使用されています。自動改札機から電波を送信し、それをICカード内部のアンテナが受信することによって発生する電流によって、カード情報を読み書きしています。さらに大きなシステムでこの無線電力伝送技術の使用を目指しているのが、宇宙太陽発電衛星(SPS)です。これは、衛生軌道上に太陽電池で発電する衛星を打ち上げ、ここから電波で電力を伝送し、地上のレクテナで受電するエネルギーシステムです。環境に負荷を与えずに、24時間発電することができます。このように、無線電力伝送技術の応用分野は、カードから宇宙まで大きく広がっているのです。

ph_fujino.jpg

藤野 義之教授理工学部 電気電子情報工学科 ワイヤレス伝送研究室

  • 専門:無線電力伝送技術、宇宙太陽発電技術、アンテナ工学、パーソナル衛星、通信技術の研究
  • 掲載内容は、取材当時のものです