機械工学科

暮らしを支えるものづくりの理論×実践。

機械の設計・製作と利用について探究する「機械工学」は、さまざまな産業に関わる学問です。その基礎となる知識と専門的な知識を関連付けながら学び、幅広い分野に応用できる基礎力を確実に身につけていきます。その上で、産業基盤を担う技術者・研究者となるため、多角的な視点を培い、世の中の変化に対応できる柔軟さを身につけます。

学問の魅力

工学と科学を学際的かつ実践的に学ぶ

「機械工学」は、力学を基礎とする工学の一分野であり、私たちの暮らしや社会に欠かせない自動車や鉄道、家電など、あらゆるものづくりに関連しています。コスト、効率、最適化などを重視する「エンジニアリング(工学)」と、その理論や本質を重視する「サイエンス(科学)」を並行して、学際的かつ実践的に学ぶ学問です。

学び方

幅広い分野に応用できる基礎力を確立

「熱力学」「材料力学」「機械力学」「流体力学」「制御工学」「計測工学」の基幹科目に、他の専門科目を関連付けて繰り返し学習することで、幅広い分野への応用を可能とする基礎力を養い、創造性豊かなエンジニアを育成します。カリキュラムは基礎から先端技術まで広く網羅し、実験や実習、インターンシップ、卒業研究などを通じて実践的に学びます。

カリキュラムの特徴

機械工学科のカリキュラムはJABEE認定を受けており、基幹科目を柱として構成されています。それに加えて、1年次には専門科目への導入教育科目、2~3年次では設計製図に関連する実習科目、機械工学実験やプログラミングを開講しています。2021年度からは3年次後半で「シミュレーション実習」や「ロボット製作実習」といった発展的な選択科目も新しく開講します。4年次では各研究室に配属されて卒業研究に取り組みます。

グローバル化への対応

  • 個々の授業・実習において専門用語の日英併記を図るなど、日本人学生の国際的視野に対する成長を支援するとともに、海外からの留学生に配慮します。
  • 機械工学序論や機械設計法および演習ではPBL(Problem based Learning、体験型自律創造学習プログラム)を取り入れ、グループワーク、ディスカッション、プレゼンテーションを通じて、コミュニケーション能力向上を図っています。
  • 機械工学輪講で、海外論文の調査を取り入れています。

4年間の学び

基幹科目に加えて幅広い専門分野を実践的に学ぶ

基幹科目の「熱力学」「材料力学」「機械力学」「流体力学」「制御工学」「計測工学」に、他の専門科目を関連付けて、繰り返し学習を実施しています。この効果によってゆるぎない基礎力を確立し、多岐にわたる分野に対応できる応用力を養います。また、「機械工学実験」や「設計論の基礎と製図」などの実験や実習、社会に接する「インターンシップ」や「先端技術」などの分野も網羅しています。4年次には卒業研究でさらに専門分野を深めます。

専門科目への導入教育

1年生向けに、機械工学の概要や機械工学を学ぶ上で必要なスタディスキルを身につけるための講義「機械工学序論Ⅰ、Ⅱ」を開講しています。履修の仕方や大学講義におけるノートの取り方から始まり、報告書の作成方法、技術者としての倫理などについて講義と演習を行います。つぎにグループに分かれて実験や製作などを行います。また、ノギスを用いた計測や、製図の基礎となる図学について実習を通して学びます。この導入教育により、大学入学後の早い段階から仲間と議論して問題を解決する能力が育ち、さらに現象を観察する習慣が生まれるなど、技術者としてのモノの見方、考え方が身についていきます。

設計製図、CAD/CAM演習

安全で性能のよい機械を作るには、材料力学や機械力学、流体力学、熱力学などの知識が必要です。その機械をうまく動かすには、機械の状態を観測・統制する計測工学や制御工学の知識が必要です。そして、機械設計において最も重要なことは、これらの基礎知識を使ってさまざまな要素(部品)を構造化する(組み合わせる)ことで、必要な機能を発現させることです。必要な機能を持った機械を設計できるようになるため、機械工学科では次の3つの設計系科目を通して、機械設計に必要な知識やスキルを学びます。

  • 機械設計に必要な知識や製図法を学ぶ「設計論の基礎と製図」
  • 世界中の製造業界で使われている3D CADソフトによるコンピュータ上での設計について学ぶ「CAD/CAM演習」
  • 設計プロセスを理解するために、概念設計、詳細設計、仕様作成、加工作業、組立作業、実験、評価という手順を、実際に機械の設計・製作を通して学ぶ「機械設計法および演習」

多様な実験・実習科目

基幹科目や設計製図に関する科目に加え、広く選択科目が用意されています。その中には多様な実習・実験科目も含まれています。
例えば、「機械工学実験Ⅰ、Ⅱ」では講義科目で学ぶ内容に関連した実験を行って結果を考察することで講義科目の内容に対する理解を深めます。「インターンシップ」では企業での実習を通してより実践的な考え方も身につけます。機械工学の研究開発を行うためにはコンピュータの利用は不可欠な時代です。そこで「プログラミングⅠ、Ⅱ」ではアルゴリズムの知識やプログラミング技術を身につけます。また、「シミュレーション実習」ではMATLABといった支援ソフトを用いて、講義で学んだ知識について数値シミュレーションを行って現象を確かめながら理解を深めます。「ロボット製作実習」では各自で小型ロボットを作り、ロボット工学や制御工学などの理論やプログラミングの知識を用いて障害物回避などの課題にチャレンジします。

卒業研究

4年次で卒業研究を必須科目として指定しています。学生は興味ある分野の研究室に配属され、1年かけて卒業研究を行います。3年次までの講義科目の受講とは異なり、個々の研究テーマについて、学生自らが率先して関連研究を調査し、必要となる理論や実験手法なども習得して研究を進めていく必要があります。新しい研究をするのですから、解答は教科書には載っていません。指導教員や研究室の仲間と議論を行ったり、専門書を読んで勉強したりしながら、一歩ずつ問題を解決していきます。そして1年間の終わりに、研究内容を卒業論文としてまとめて発表します。1年かけて真摯に取り組んだ研究成果を発表する卒論発表会では、誰もがやり遂げた達成感を胸に、堂々と研究の成果を発表しています。卒業研究は決して楽ではなく、高い壁に行く手をはばまれることもあるでしょう。しかし、これらのすべては大学卒業後に、技術者として仕事をする上での基本となるのです。

卒業論文のテーマ例

  • ボルト締結構造物の強度とゆるみの解析的評価
  • 車輪型移動ロボットの軌道計画と実現
  • CAEによるリンク機構の運動解析
  • 超音波センサを用いた3輪オムニホイールロボットの追従制御
  • 3軸触覚センサを用いたタイヤ接地面における力の計測
  • 機能性分子センサを用いた航空宇宙機模型の空気力計測
  • プランクトンの骨格構造に見られるパターン形成
  • 機械学習を用いた予測制御  など

学びの取り組み

重要科目のクラス分けとTAによるサポート

専門の基幹科目や実験・実習科目は複数のクラスに分けて開講することで、きめ細かな教育を心がけています。また、実験・実習科目では、担当教員とともに大学院生等のTA(ティーチングアシスタント)を配置して、各受講生の学習と理解をサポートします。

JABEE認定されたカリキュラム

機械工学科は2005年からJABEE認定(※)を受けており、今後も認定の継続を予定しています。

JABEE(日本技術者教育認定機構)とは、高等教育機関の技術者教育プログラムが社会の要求水準に達しているかを審査・認定する団体です。JABEE認定プログラムを修了した卒業生は修習技術者として認められ、技術士第一次試験に合格した者と同等に、技術士補として登録する資格が与えられます。