総合大学の強みは、一つの大学の中にさまざまな学部があり、専攻する学部学科以外の知識に触れるチャンスが多いこと。イブニングコースの法学部法律学科で学んだ松本祐里佳さんは、高校時代から関心を持っていた法律や子どもの支援という分野を起点に学びを広げるうちに、学ぶ姿勢と情報収集力、そして人生を創造する力を身につけていきました。

両親の影響で法学部に進学

私の両親は、そろって法学部の出身です。家族でニュースを見ている時なども、法律という切り口から話をすることがよくありました。「法律を知っていると、社会に出た時にとても役立つ」と話す両親の影響を受けて育った私は、自然と法律学科を目指すようになっていました。

法律学科を選んだ理由は、もう一つあります。高校時代にニュースを通じて、少年犯罪と少年の更正に興味を持つようになり、そのためには法律の知識も必要になると考えたのです。

大学入学後は、法律について学び、法の解釈について議論し合う法学研究会に入会しました。研究会の仲間の多くが弁護士や公務員を目指すなか、私が目指していたのは、少年院で更正を担う法務教官。しかし、大学で学びを深めるうちに、家庭裁判所調査官の仕事にも興味がわいていきました。

非行を犯して家庭裁判所に送られてきた少年たちを調べる家庭裁判所調査官は、その人物に何が起きて非行を犯したのか、家庭環境はどうだったのかを調べます。その上で、どう裁くことがその人物のためになるかを裁判官に進言するのです。

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大学では興味のある勉強を優先しようと決意

家庭裁判所調査官は公務員です。本気で目指すのであれば、1年次から公務員試験のための勉強をする必要があるということがわかりました。

とはいえ、私には犯罪社会学や臨床心理学、仏教など学びたいことが山のようにありました。「大学ではそれまで知らなかったことをたくさん知りたい」という希望も持っていたのです。しかし、公務員試験を目指すには試験勉強もあるため、自分が興味ある分野の勉強ができなくなってしまいます。悩んだ結果、大学生活では本当に学びたいことを優先し、法学部で学んだ知識を企業の法務といった形で活かそうと一般企業への就職を目指すことにしました。

はじめこそ関心が薄かった一般教養の授業も、受けてみると興味深い内容が多く、さまざまな分野に視野を広げるきっかけになりました。法学部の授業だけでなく、他学部開放の授業も履修しました。

このように学ぶうちに、興味を持った分野や知りたいことを積極的に学びに行く姿勢が身についたように思います。また、気になったことがあれば、講義の前後に先生に質問しに行く習慣もつきました。いろいろな本やインターネットなどを通して知りたい情報を探すことも増え、情報収集力も養われたと実感しています。

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思いきり学んだからこそ見えた進路

こうしてさまざまな分野の勉強をしながらも、やはり私の関心の中心は、高校時代から変わらず、「少年の犯罪と更正」でした。少年犯罪について、さまざまな知識が身についたところで、今度は「実際の子どものケアはどうなっているのか」ということを知りたいと思うようになりました。

なぜ子どもが犯罪を犯してしまうのか、そうした子どものケアはどうなっているのか。その実情を知りたくて、他大学の特別聴講制度を利用しました。また、他大学の学生たちが行うボランティア活動にも参加するようになりました。周囲となじめない子どもたちが、遊びを通して相手に気持ちを伝えたり、コミュニケーションを取ったりできるよう、サポートするという活動です。入学当初は法務官や家庭裁判所調査官という仕事を目指した私でしたが、ボランティア活動を通じて「子どものケアを仕事としてではなく、ライフワークとして続けていこう」という目標ができました。

一般企業への就職が決まりましたが、今後も子どもの支援ボランティアの活動は続けていくつもりです。そして、地域の方々と一緒に、子どもたちの育ちを見守っていきたいと思います。

松本 祐里佳さんイブニングコース 法学部 法律学科 4年

  • 内定先:三井海洋開発株式会社
  • 私立三輪田学園高等学校出身

  • 掲載内容は、取材当時のものです