フードデータサイエンス学科

データで、新たな食の可能性を開く。

食料経済学研究室(児玉剛史 教授)

食の持続可能な発展

食料・食品や食そのものに関して経済学の視点から研究しています。食品に含まれる栄養素量や化学物質量、さらには産地、表示内容などは「食品属性」と呼ばれ、食品を構成する細かい要素です。その分解された要素に基づいて経済学の枠組みで分析を行っています。マクロ的な視点では食料安全保障や食料貿易、日本人の食料摂取の問題、ミクロ的な視点では食品の安全性の確保や個別の食品のブランド化等の問題・課題を明らかにする研究を行っています。具体的には日本型食生活が日本でのように形成され、定着したのかについて栄養素の時系列データから明らかにした分析や野菜生産における栄養素生産性の把握、安心院牛や暮坪カブといった地域ブランドの価値形成の特定などです。また統計的手法を使った経済分析を専門としてきています。経済学は応用範囲が広い学問です。そのため、食品以外にも広島県の宮島の価値や里山のもつレクリエーション機能の価値など多岐にわたる環境の価値も明らかにしてきています。経済学は「効率的な分配」を実現するべく研究する分野です。多くの食料が生産されているのに、世界には8億人の栄養不足の人間がいます。その一方で多くの食品が廃棄されたり、食べ過ぎて病気を患ったりする人がいます。日本でも子供の貧困が問題になっています。このような問題は分配の問題から生じています。さらには少子高齢化による農業生産者の減少、それにともなう耕作放棄地など国土の有効利用の欠如などが生じる恐れがあります。生産資源の維持から生産者の問題、食品産業の展開、消費の安全保障の確保まで課題は多岐にわたります。これらの課題を解決するのが食料経済学の使命であり、食のSDGsの実現に向けて食料経済学は重要な役割を持っています。

この研究室を希望する方へ

食料や食品の生産、消費、製品そのもの、あるいは食の環境のいずれかに強い関心があり、その問題意識を持っている方の入室を希望します。現地調査、データ収集のいずれかが必要になるので、これらの手間を惜しまない方を希望します。特に統計学を使った数値解析を必須として行いますので、その基礎的能力を身に着けていることを強く勧めます。データ解析にはデータの整理整頓能力も必要です。情報処理の基礎能力も身に着けていることを勧めます。また、課題を明確化するにあたり文献収集が必要になります。文献の多くは英語で書かれたものとなりますので、英語で文献を読み理解できる能力が必要になります。課題を探索するときに経済学の基本的な考え方を理解できている方が望ましいです。経済学的思考は研究を進めるにあたりスムーズに進められる原動力となると思いますので、これらにかかわる科目を取得することを勧めます。