食環境科学科

生きるを支える、次世代の食をつくる。

食品機能論研究室(岡田晋治 教授)

食品のおいしさ・機能性の研究

20世紀初頭、2人の日本人科学者が食に関して社会を変革するような大発見をしました。鈴木梅太郎博士は脚気の予防・治療に有効な成分として米ぬかからオリザニン(ビタミンB1)を見出し、この物質が当時知られていた四大栄養素(タンパク質、糖質、脂質、ミネラル)を補完する5番目の栄養素(ビタミン)であることを示しました。池田菊苗博士は昆布からそれまで知られていた四基本味(酸味、甘味、塩味、苦味)とは別の呈味成分としてL-グルタミン酸を発見し、この物質が呈する味を5番目の基本味として旨味(うまみ)と命名しました。さらに、20世紀後半に、日本の研究班が食の機能性(栄養、嗜好、生体調節)を初めて体系的に整理し、これを契機に機能性食品が生まれました。
私たちの研究室では「おいしさ」を中心に食の機能性に関する研究を進めます。味、匂いをはじめ私たちの体調など様々な要素が「おいしさ」に関わります。どんなに健康に良い食事でも食べる喜びが損なわれては続きません。食品の「おいしさ」「機能性」について、分子生物学的手法や生化学的手法、バイオインフォマティクス、あるいは、データサイエンスを駆使して研究し、食の機能性をより活用できる社会の実現を目指したいと考えています。

この研究室を希望する方へ

研究室での取り組み(研究)はこれまで皆さんが行ってきた取り組みとは大きく異なります。1つには、高校以前で行ってきた学習は“答えのある”事でしたが、大学で扱う研究や卒業後に社会で取り組む課題は“答えの無い”事です。また1つには、研究は1人ではなく、共同作業で取り組むものです。これまでと異なる取り組みに戸惑いもあると思いますが、日々の小さな成功や前進を共に喜び、研究生活を送りましょう。 “巨人の肩の上に立つ”という言葉があります。新しい発見をするためには過去の知見の学習が不可欠です。他にも、実験技術の向上、周囲とのコミュニケーション、そして、成果を分かりやすく発信する能力も必要です。沢山必要なことはありますが、研究生活を通した自己研鑽によってこれらを身につけ、「食」分野の科学者として社会変革を担う人材へと成長することを期待します。当研究室は2024年度からスタートする新しい研究室です。意欲にあふれ、新しい研究室の歴史を作り上げてくれる学生を待っています。