食環境科学科

生きるを支える、次世代の食をつくる。

食品分析化学研究室(西崎雄三 准教授)

NMRに基づく食品関連成分のデジタル化とその利活用に関する研究

食品分析化学研究室では、たんぱく質、脂質、炭水化物などの栄養素から、食品添加物や農薬、機能性成分に至るまで、多岐にわたる化学物質を研究対象としています。食品の安全性を確保するために、これらの成分を精確に測定できる方法の開発に取り組んでいます。特に、核磁気共鳴(NMR)技術を利用して、個々の食品成分をデジタル情報に変換し、このデジタル情報を基準にして、食品中の成分の種類や量をNMRで分析する方法を検討しています。
変換された個々のデジタル情報は、その食品成分を分析する際の「ものさし」として機能するため、「デジタルリファレンススタンダード(dRS)」と呼ばれます。dRSという情報が共有されることによって、世界中の誰もがその食品成分をNMRで分析できるようになります。これからの時代においては、分析法の持続可能性についても考慮する必要があります。近年では、NMRの小型化が進んでおり、今後、NMRの装置普及率が高まることや、NMRを用いた理化学試験法が検討されていくと期待されています。また、dRSが広く周知されている限り、NMR装置さえあれば、世界中の誰もが同じ「ものさし」を使用して、その成分を分析することができます。dRSは将来的にさらに重要な概念になると考えているため、国の研究機関や海外研究者との協力を通じて、dRSの社会実装や標準化に向けた取り組みも進めています。

この研究室を希望する方へ

分析データを通じて食品の品質や安全性を可視化することに興味がある方、新しいこと(他の人がやっていなそうなこと)が好きな方、歓迎します。分析化学の分野では、測定さえすれば何かしらのデータが返ってきます。期待していなかったデータが返ってきたとしても、そのデータが生み出された過程の中に、予期せぬ発見や重要なブレイクスルーが隠されている可能性があります。データに対して真摯に向き合う姿勢や素直さが研究を進めていく上で大切です。