応用化学科

持続可能な社会の実現に応える化学。

大気環境科学研究室(反町篤行 教授)

大気-陸域におけるガス・粒子状物質の環境動態に関する研究

私たちの身の回りの環境問題は、植物の生命活動や自然災害などによる自然由来および人間活動やエネルギー供給による人為由来があります。当研究室では、大気環境および環境科学の観点から、大気-地表面におけるガス・粒子状物質の放出・拡散・沈着過程の解明を目指しています。現在、着目している環境問題は、大気汚染物質、放射性物質、マイクロプラスチックです。

  1. 大気汚染物質:反応性窒素は生態系において過剰窒素に伴う富栄養化に影響するとともに、粒子生成にも寄与するため大気汚染や気候変動にも影響する可能性があります。これまで森林におけるフラックスや鉛直分布観測から、乾性沈着過程においてガス-粒子変換反応が関与する可能性がある興味深い発見をしました。現在、これまでの大気環境化学的なアプローチに加えて、放射性ガスであるラドンとトロンをトレーサーとして利用する手法を取り入れ、観測鉄塔を用いて、大気-森林-地表面における反応性窒素や大気エアロゾルなどの大気汚染物質の放出・拡散・沈着過程を解明することを目的としています。
  2. 放射性物質:2011年3月に起こった東日本大震災に伴う福島原発事故により、環境中に大量の放射性物質が放出され、地表面に沈着しました。これまで地表面に沈着した放射性セシウムの一部が、森林における葉やリターなどの表面で生存する真菌類などを介してバイオエアロゾルによって大気中に運ばれている可能性が高いことが明らかになってきました。現在、森林からのバイオエアロゾルおよび放射性セシウムの大気放出フラックスの同時測定により、放射性セシウムの大気放出を定量的に理解することを目的としています。
  3. マイクロプラスチック:プラスチック生産量は1950年以降に急増し,海洋生態系の破壊が懸念されています。一方で、大気を通じたマイクロプラスチックによる汚染は明らかになっておらず、実態解明と健康影響評価は喫緊の課題であります。そこで、大気中マイクロプラスチックの濃度や大気沈着量などを測定し、大気中マイクロプラスチックの実態を解明することを目指します。また、マイクロプラスチックに対する健康影響や分析手法などに貢献するためモデルプラスチック粒子の作製も試みています。

研究室入室希望者に望むこと

環境問題を取り組む上で、環境問題が起こっているフィールドを積極的に体験し、実際にフィールドでは何が起こっているのか、私たちが環境問題の解決に何ができるのか、具体的に問題意識を持つことは大切かと思います。まずは環境問題に興味を持ち、失敗を恐れずに色々とチャレンジして研究を楽しんで下さい。フィールド研究は個人としての側面とチームとしての側面があり、また自然環境を相手にしますので予期し得ないことが起こります。そのため、フィールドを環境教育の場と考えて、フィールド研究を通じて、是非とも主体性、協調性、適応性を高めてもらいたいと思います。