元素の周期表は化学の根幹であり、その表から元素の様々な性質が読み取れます。中でも1,2,12~18族の元素は典型元素と呼ばれ、それら特性を発掘する研究が現在盛んに行われています。特に13~18族の第3周期以降の元素は、炭素原子を中心とした古典有機化学の概念を覆す、非常に興味深い性質を示すことが知られており、例えば、
1)高周期典型元素どうしの長い結合が作りづらい
2)高周期典型元素どうしの多重結合が作りづらい
3)最外殻電子数がオクテット側を越えた9以上の価電子数を有する高配位化合物(超原子価化合物)が比較的安定に存在する
などの特性が挙げられます。
有機元素化学研究室では、特に上記3)の特性に着目し、様々な高周期典型元素を中心とした珍しい高配位化合物、いわゆる超原子価化合物に焦点をあて、これまでこの世に知られていない結合形態を有する新規化学種の合成、構造解析、動的挙動、理論計算による解析等の研究を行っています。
このように発見された新たな化学種を新物質の創製に応用することができれば、既存の化学種のみで構築された物質と異なり、思いもよらない機能性を発現する可能性があるのです。また未知の化学種のラインアップを増やすことができれば、自ずとその組み合わせは膨大なものとなり、その中から大きなイノベーションを起こすことが可能な近未来型材料を見つけ出すことができるかもしれません。10年後、いや100年後を見据えた物質の基盤研究、そして後世まで残る化学の教科書に掲載される新規化学種の創製に共に携わってみませんか。