応用化学科

持続可能な社会の実現に応える化学。

機能有機化学研究室(小田晋 准教授)

機能性有機材料の開発

当研究室では、有機合成や物性評価などの手法を駆使して、新たな機能性分子の開発に取り組んでいます。具体的には、発光材料、電池材料、触媒、センサーなどに応用できる分子を探索しています。

研究テーマの内容は、主に次の3つの部分から構成されます。

1. 有機合成
まず、有機材料の開発において最も基本的な部分は、機能性を持った分子を設計・合成することです。分子の機能を最大限に引き出すために、計算化学的手法により分子の形状や構造、物性を予測し、目的に応じた分子設計を行います。その上で、有機合成化学を基盤として、新しい機能を持った分子を創出します。具体的には、含窒素多環芳香族炭化水素や反芳香族化合物といった分子を合成していきます。その過程で、これまで報告例のない骨格を構築するための新しい反応の開発にも積極的に取り組んでいきます。
2. 物性評価
合成した有機材料の物性評価を行います。物性評価には、分子の構造解析や物理・化学的性質の測定が含まれます。分子の構造解析には、X線結晶構造解析、NMRスペクトル解析、質量分析などの手法が用いられます。物理・化学的性質の測定には、電気化学測定、光物性測定などの手法が用いられます。これらの結果をもとに、より良い物性を得るために、分子構造の最適化を行います。
3. 応用開発
最後に、合成・物性評価を行った有機材料を応用分野において評価し、応用開発を行います。具体的には、良好な酸化還元特性を持つ分子を正極活物質として用いて、リチウムイオン電池を作成し、充放電装置により電池容量やサイクル特性といった電池特性を評価します。

このように、当研究室では、先端的な分子設計技術や物性評価技術を駆使して、新しい機能性材料の開発に貢献することを目指しています。そして、社会に貢献する応用研究の推進に取り組みながら、より高次元の基礎研究にも挑戦しています。

この研究室を希望する方へ

当研究室に入室を希望する方には、以下の3つのことを望みます。

まず、好奇心旺盛であることです。研究には探究心が不可欠です。新しい知識や技術を学ぶだけでなく、自分でアイデアを出し、積極的に発信する姿勢が求められます。また、自分自身が持つ疑問や興味を追求することで、未知なる発見や創造性あふれる研究を実現することができます。

次に、新しい価値観を取り入れ、自分を変えることができることです。研究においては、時代の変化に合わせた新しいアイデアや技術を取り入れ、常にアップデートすることが求められます。また、研究室では異なるバックグラウンドや文化を持つ人々が集まります。そこで、自分自身の限界を超えて新しい発想や視点を取り入れることで、より広い視野を持ち、チームの成長に貢献することができます。

最後に、正直であることが大切です。研究においては、正確で正直なデータや報告が求められます。不正確なデータや不適切な報告が行われることは、信頼性の欠如や研究成果の無効化につながる恐れがあります。また、研究室では協力して作業を行うため、チームメンバーに対しても誠実であることが必要です。

以上のような特徴を持つ方が、当研究室で活躍できると考えています。研究に熱意を持ち、常に自己研鑽に励み、チームワークを大切にする人材の応募をお待ちしています。