機械工学科

暮らしを支えるものづくりの理論×実践。

応用数理研究室(吉野隆 教授)

形の科学

研究の中心は「形の科学」です。数学や物理学の手法を用いて、形態形成に関する各種のシミュレーションを行っています。伊藤過程と呼ばれる確率微分方程式の数値計算やマルコフ連鎖モンテカルロ法によるパターン形成に関するシミュレーションが一番好きです。最近はこれらの手法を用いて、海洋性プランクトンという大きさが数十ミクロン程度しかない生物の骨格形成について研究を始めています。幾何学的な解析や構造力学的な応力解析や流体力学的な流れ解析などを総合的に行っています。画像は、放散虫というプランクトンの骨格構造の幾何学的な特徴を解析した例です。

本研究室の特徴は、コンピュータ以外の機器がほとんどないことですが、少しずつ ものづくりに関係したテーマについても取り組み始めています。テンセグリティという棒(圧縮部材)と紐(引張部材)で作る構造のデザインや、紙やホビーショップで買える材料などで機構の模型を作ることなども行っています。

また、3次元プリンターを用いた形態の作成も始めています。これまではCGだけを用いていたので直感的にわかりづらかった本研究室の「形の科学」が3次元プリンターを用いて作られた模型によってどのように発展するのかが自分でも楽しみです。

ものづくり以外では、多くの場合、 Mathematica、Java、C++ などの言語を用いてプログラムを作成し、得られた結果について議論します。プログラミングの経験がない学生が多かったので希望者が少なかった分野ですが、新カリキュラムになって、すべての学生がプログラミングを経験することになったので、今後に期待しています。これと連動して iPad アプリを作ることも始めています。

テーマは「面白ければ良い」と思っているので、これまでもあまり「機械工学」という言葉を気にしてはいませんでした。「面白いこと=打ち込めること」だと思っています(でも、面白いから研究になるとも思っていません)。今後もあまり「機械工学」という名前にはこだわらずに行こうと思っています。

この研究室を希望する方へ

研究は決して楽なものではありません。毎日のように努力しなければ成果は出ません。もしかしたら毎日努力しても成果は出ないかもしれません。逆に、毎日努力しなくても成果が出る人もいます。しかし、努力しなければ成果が出る確率は極端に低くなります。つまり、我々ができることは「成果が出る確率を高くするために努力すること」だけです。これは一般社会でも言えることだと思います。だから、「要領の良さだけを身につけて卒業する学生をなくすにはどうしたらいいか?必死に努力することの大切さを伝えるにはどうすればいいのか?」に悩む日々を送っています。私は研究室の学生を「研究の上ではライバルである」と考えています。必死な姿が見えないライバルには厳しいです。逆に、必死な姿が見えるライバルを称賛します。そして、必死な姿が見えるライバルに成果を出せるよう協力を惜しみません。