機械工学科
暮らしを支えるものづくりの理論×実践。知能機械システム研究室(松本潔 教授)
力学量や物理量のセンシング技術とそれを応用した知能化システム
人はモノに触っただけで瞬時に形状や材質、硬さや重さを判断し、器用に持ち上げることができます。ぬれた通路に一歩踏み出しただけで瞬時に滑りやすさを判断し、転ばずに歩くことができます。一方、現在ロボットの研究開発が盛んに行われていますが、その機能は人間に遠く及びません。これはロボットのセンシング能力が、まだまだ不十分だからです。
研究室では、MEMS (Micro Electro Mechanical Systems)技術を応用して、人の五感(触覚、聴覚、視覚、味覚、嗅覚)やそれを超える様な新しいセンサやセンシング技術を研究しています。さらにこれらの技術をベースに、ロボットや情報機器、健康医療や計測分析機器などの、新しい知能機械システムへの展開を行っています。
具体的な研究テーマとして、以下のものがあります。
- [高機能センサの研究]
- 滑りや摩擦係数が検出可能な触覚センサ、テクスチャや手触りが認識できる触覚センサ、モノの温熱特性や保水量が計測できる触覚センサ、髪の毛も検出できる広ダイナミックレンジの触覚センサ、剛性を自由に変えられるアクティブ力センサ、など。
- [センサを応用した知能化システムの研究]
- 摩擦センサを用いたロボットの歩行制御、触覚センサを用いたロボットハンドの制御、センサシューズを用いた人の動作解析、センサを用いたスポーツの運動解析、遠隔医療のための遠隔触診システム、遠隔作業のための力覚伝送システム、音響インピーダンスを用いた呼吸器疾患の診断、抜重による段差乗り越えロボット、微小世界と結ぶマイクロバイラテラルシステム、など。
この研究室を希望する方へ
研究室での研究を通して、是非、多くのことを学んで下さい。これまでの座学や演習中心の勉強に対して、自ら進んで課題を見つけ解決することは、将来、技術者や研究者として活動していくためのベースとなります。
研究を通して学んで欲しいことは、大きく以下の4つです。第1に、研究開発の基本プロセスの体得。これは課題の抽出、関連技術の調査、解決の新たな方式の提案、実証および評価、というサイクルの習得です。第2に、人に考えを伝える能力の習得。研究開発の、背景、目的、内容、結果、総括を、他の人が容易に理解できるよう、説明できるようになって下さい。第3に、技術の周囲にある重要な事柄の理解。たとえば知的財産、会社経営等についても学んで下さい。第4に倫理観の修得。技術に携わる者としての責任を自覚した技術者、研究者になって下さい。
日本は世界に先駆けて、少子高齢化や社会資本エイジングなど様々な社会課題に直面しています。工学として、これらの課題に対する魅力的な解決案を提示することが重要です。そのためには、従来の技術の延長ではない、手本のない新しい価値を生み出していく必要です。皆さんが、新しい技術に挑戦し、イノベーションを起こすことのできる技術者、研究者として、巣立っていくことを期待しています。