機械工学科
暮らしを支えるものづくりの理論×実践。バイオメカニクス研究室(窪田佳寛 准教授)
植物に学ぶネットワーク形状
植物の葉は虫に食われて穴が空いてしまっても枯れずに水を葉の全体に行き渡らせることができている。これは葉脈により形成されたネットワークを駆使し水の流れの迂回路の形成が出来ているためである。では、植物の葉はどのようなネットワーク形態を形成しているのであろうか。人工的に損傷を与えた葉脈ネットワークの機能を調べた。葉から葉脈ネットワークを取り出して観察した。その結果、葉の中央を通る主脈から側脈が分岐し、さらに細かく分岐することで形成されるネットワークが観察された。また、分岐した葉脈同士が結合することで、環状の構造を形成していることが確認された。葉脈のネットワーク性を調べるために、葉脈の分岐に着目し、それによる階層分けを行った。その結果、葉脈は3層に分かれるメッシュ型のネットワーク構造をもつことがわかった。メッシュ型はネットワークを構成する各要素それぞれが複数の環状構造と接続しており、局所的に接続が切断されても、他の接続を経由することで吸水を維持することができる。また、損傷した葉における水の流れを、実験的に可視化することで検証した。その結果、最も断面積が大きい主脈を欠損させても、側脈を経由して損傷部を迂回する様子が観察された。また、損傷の程度の違いを観察した結果から、側脈が1本でも残っていれば葉の先端まで水を運搬できることがわかった。これらの結果から、葉脈は高い頑強性を有するメッシュ型ネットワークを構成していることを見いだした。
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バイオメカニクス研究室では、生物の機能を元にした新しいものづくりを進めるバイオミメティクスを中心として流体力学や可視化の技術を元に研究を進めていきます。これらの研究を進める上で大切なことは、自然界や日常生活に目を向けると「なぜ?」「どうして?」と感じることです。これは今までに得た「経験」や学びによる「知識」では、理解ができないから不思議に感じているからです。研究室に入室を希望される方には、ぜひ不思議に思う気持ちを持っていて欲しいです。