都市環境デザイン学科

自然と調和した都市システムを生み出すスペシャリストを育成。

地域防災マネジメント研究室(及川康 教授)

自然災害への社会的対応策に関する研究

土木構造物等により自然災害を制御しようとする防災対策のことをハード対策と呼びます。しかし、自然の振る舞いは時としてハード対策の防御目標を越えてやってきて、思いもしない被害を地域にもたらします。しかし、津波・豪雨・台風・土砂災害などのように災害の発生までに若干でも猶予があり、その間に災害の発生を示唆する幾つものシグナルが存在する類の災害においては、住民の避難行動や対応行動などのような地域のソフト対策の有りようが被害の程度の大部分を規定すると言えます。このような認識のもと、本研究室では、災害時の住民避難のありかたや、それを喚起するための発災時のみならず平常時からの災害情報、防災教育のあり方などについて考察していきます。したがいまして、研究対象は人・地域・社会です。より具体的な取り組み内容のキーワードとしては、災害時における住民行動の意思決定要因、ハザードマップ、リスク・コミュニケーション、防災教育、災害文化、などであり、それらに関する検討や考察を行ってゆくうえでは必要に応じて、意識調査分析、統計解析、GIS、などのツールや手法を活用します。

卒業研究としてのテーマについては、上記のような内容はもちろんのことであるが、それ以外の関連テーマを希望する場合においてもその内容が研究テーマとして成立し得るか否かを議論しながら煮詰めていきます。また、その際のベースとなる基礎知識などについても、必要に応じて輪講などの機会において随時補完しながら進めていきます。

この研究室を希望する方へ

卒業後に就職する学生にとっても、大学院へ進学する学生にとっても、社会人として世間に出てゆく直前の時期を研究室にて過ごすこととなります。社会生活は学生時代とは大きく異なります。“習っていないのでわかりません”といった態度や、指示を受けるまで何もしないような態度では通用しません。自ら課題を発掘して解決してゆく実践力が何事にも求められます。研究室で過ごす期間は社会人として世に出て行くための事前の練習期間だという気概を持って取り組む学生が集うことを望みます。

なお、研究に関する議論の場においては、教員であれ学生であれ互いに対等な立場で意見を交わし、誰の見解であっても優れた見解であれば真摯に認め合う姿勢が大事だと考えています。当研究室への入室を希望する学生にあたっては、このような礼儀正しさをも併せ持つ学生であってほしいと願います。