私たち地盤環境学研究室では、「地盤」と「環境」について研究しています。地球の表面の約3割が陸地です。人類が誕生して以来、人類は種々な形で土と付き合ってきました。私達が住む日本は狭小(地球上の陸地の0.25%です)で、特殊な地形(脊梁山脈の存在)であり、その土地、土地により土の種類や性質が異なります。産業基盤や環境施設ならびに個別住宅を建設する際に、「地盤」はとても重要な検討項目となります。加えて、近年は、環境保全、循環型で持続可能な社会の実現、都市環境の改善、地下水汚染・土壌汚染の浄化などを目標として、「地盤」と「環境」は切り離せない状態になりました。また、構造物の施工時の建設廃棄物の削減や環境保護が求められています。その上、人口増加や市街地の発展により廃棄物の増加や処理場の受入量も逼迫し、これらの諸問題への対応がもう目前にまで迫っていますし、東日本大震災での原発事故に伴う除染作業で生じた汚染土壌や汚染水の処理も大きな問題として残っています。
このような背景を踏まえて当研究室では、建設発生木材や上下水汚泥を混合した緑化基盤材の、のり面緑化、それと関連する土中水と植物の生育に関する研究などを行っています。特に、植物に関連する取り組みは、建設業界でも活発化していて、震災復興を後押しするプロジェクトとしても注目されており、今後、さらに勢いを増すことと推察しています。この他、関東ロームのSMW工法などの造壁に関わる物理化学的性質に関する研究では、地中壁を構築する際の自立性を持たすための力学的な改善と、排出される土砂の残土処分量を削減するための工夫についても検討を加えています。
「地盤」と「環境」を取り囲む境界条件としての自然環境を適切に保全することは、生物多様性を残した生態系を保全することに繋がり、継続して人間活動による地盤と環境への負の影響を防止・軽減するための多様な取組みが必要と考えています。