電気電子情報工学科

明日の地球につながる技術

真空ナノエレクトロニクス研究室(吉本智巳 教授)

いかに低い電圧で安定に電界放射電子源を動作させるか?

固体表面から電子が真空中に脱出する現象は電子放射と呼ばれています。電子放射はそのメカニズムにより、光電子放射、熱電子放射、二次電子放射、電界放射などに分けられます。この応用分野は、真空管、表示灯、X線CT装置、電子顕微鏡など多岐にわたっています。このような中、1985年に半導体微細加工技術を用いて製作したミクロンサイズの電界放射電子源による真空集積回路が提案され、真空マイクロエレクトロニクスという新たな研究分野が注目を集めるようになりました。これ以来、微小な電界放射電子源を平面に多数並べた構造(Field Emitter Array:FEA)を用いて、電界放射型平面ディスプレイ、小型マイクロ波管、小型X線管などの実現を目指す研究が活発に行われています。

本研究室では、Siからの電界放射の基礎研究から始まり、その後にスピン偏極電子源を目指してGaAs電界放射電子源の研究を行ってきました。近年では (1)低電圧動作が期待できるカーボンナノチューブ(CNT)電界放射電子源、(2)非常に小さいあるいは負の電子親和力を持ちえることから、低電圧動作が期待できるワイドバンドギャップ材料(ダイヤモンド、DLC)を用いた電界放射電子源、(3)集束イオンビーム(FIB)加工による電子源先端の先鋭化による動作電圧の低減化の三つのテーマに注力して研究を行っています。

この研究室を希望する方へ

授業の一貫として行われる実験(学生実験)は必ず上手く行って、それなりの実験データが取れます。しかし、実際の研究の実験では、上手く行かないことの方が圧倒的に多いです。失敗しても諦めずに、工夫しながら、しつこく粘り抜くことがとても大切です。しかし、めげないためには、失敗してもくよくよしない楽天的なことも重要です。相反することですが「諦めずにしつこく粘る」と「楽天的」のバランスが取れている学生が将来的に大きく成長するように思います。「何でだろう?」と考えながら行動することは、目的達成への近道になります。ただ単に時に流されることなく、あるいは我武者らに突き進む中にも、時折「深く考える」時間を作ることが大切です。

  • 諦めずにしつこく粘る
  • ある意味、楽天的
  • 深く考える

この3点が研究室の学生に望むことです。