電気電子情報工学科

明日の地球につながる技術

高電圧・大電流工学研究室(浦井一 教授)

高電圧ブレーカの遮断解析・設計技術の高度化

技術革新により我々の生活は豊かで便利なものになりましたが、地球の環境悪化が進んでいます。持続可能な社会を目指した技術開発が進められており、太陽光や風力などの自然エネルギー使った環境にやさしい再生可能エネルギー電源の導入が進んでいます。電気エネルギーの利用には、電気を「作る」「使う」に加えて「送る」ことも重要となります。この送電に欠かせないのが電力システムを保護するためのスイッチです。

本研究室では、高電圧の電力系統から低電圧の電気自動車充電装置まで様々な電力送配電システムで用いられるブレーカ(遮断器)を研究対象としています。高電圧・大電流技術を核とした電力工学をベースに、プラズマ工学、流体力学、機械機構学などを複合した技術を対象とします。モデル実験による現象の解明、シミュレーションによるデジタル設計技術の開発を通じて、次世代の高電圧ブレーカ、直流遮断器、半導体スイッチの提案を目指しています。

高電圧ブレーカでは、ガス中の電流遮断はアークと呼ばれるプラズマを超音速流で制御する複合物理現象を扱うものであり、難しいがゆえに魅力のあるテーマとして取り組んでいます。遮断器では電流が流れている状態で電気接点が開くと、接点間にある気体の温度が上昇し、気体の分子は解離して原子になり、さらに電子が原子から離れて、イオンと電子で構成される電離気体(プラズマ)になります。このプラズマに高速なガス流を吹き付けることで、プラズマを冷却して、気体温度を下げて、電流を流すことができない気体の状態に戻すことで、電流を遮断します。高速ガス流の吹き付けによる電流遮断現象のシミュレーション方法を研究しています。

この研究室を希望する方へ

科学技術を通じて社会に貢献できる技術者や研究者を目指す人を歓迎します。研究室では、実験装置の製作からシミュレーションプログラムの作成まで、ハードウェア・ソフトウェア含めて、できるだけ手作りする方針で進めています。モノづくりを通じて、いろんなことにチャレンジできる環境を提供したいと考えています。自ら設計した装置やプログラムは、予定通りに動かないなど失敗も多いですが、失敗から学べることも非常に多いです。新しいことにチャレンジして、失敗しながら、一緒に成長しましょう。