電気電子情報工学科

明日の地球につながる技術

波動情報研究室(草間裕介 准教授)

マイクロ波の応用に関する研究

本研究室では、電磁気学から発展した電磁波工学の中のマイクロ波工学という分野からテーマを選定しています。電磁気学も電磁波工学も今から150年前に発表されたマクスウェルの方程式が支配方程式=法則です。この法則を使って現実の問題にどう応用するかが研究となります。また、電磁気と電磁波との大きな違いは波動としてエネルギーを遠方へ伝送できるかどうかです。特にマイクロ波は、周波数で直流から長波/短波/光波/X線/ガンマ線…と無限に続く電磁スペクトルのうち、波長が数センチから数十センチ程度の「手のひらサイズ」に相当するSHF帯にあり、実験室レベルでの評価がしやすい周波数帯で、レーダーや携帯電話、無線通信システムに広く利用されている電磁波動です。これらの情報通信伝送技術は、実験観察に加えて数学解析や電磁界シミュレーションによるコンピュータ支援設計を組み合わせて発展してきました。

具体的な研究テーマは、誘電率や透磁率および導電率といった高周波材料の電磁気的特性測定、高周波回路基板上にフィルタや整合回路をはじめとする各種伝送線路素子を構築する電磁波平面回路、大電力を伝送する金属導波管を使って各種導波管回路素子を構築する電磁波立体回路、これらを応用した電子レンジやMRIなどの各種RF応用電子機器の研究も進めています。また、マクスウェルの方程式を解くには数値計算手法であるFDTD法やモーメント法および有限要素法を使った電磁界シミュレーションが必須です。そこで、電磁界シミュレーションに関する研究も進めています。研究イメージの一例を図に示します。講義で学ぶ理論をベースにして実験観察を行い、実測が難しい問題についてはシミュレーションで補うというサイクルを繰り返すイメージを示しています。また、研究成果の学会発表や企業との共同研究によって対外的なPRと社会貢献を果たしてゆきたいです。

この研究室を希望する方へ

電磁波は物理学の1つです。物理工学は、実験と理論解析とシミュレーションの組み合わせで発展してきた学問なので、単一の視点だけではなく、複数の視点から事実を観察する能力を持つことが理想です。今後生産人口が減少することが明らかな日本の競争力を保つためには、就職・進学希望者に共通した研究能力を持った人材育成が必要です。以下に研究の進め方と希望する学生像を示します。

  1. 色々な学生がいます。目的はそれぞれ違ってもミニマムは求められます。
  2. 研究に必要な最低限の準備をするため、配属後3か月間かけて基礎導入教育をします。
  3. 月一度のペースで各自の研究進捗報告会があります。
  4. 学生も教員もお互いに分からないことを調べて明らかにしてゆくことが研究です。
  5. 可能ならば、学外の学会において研究内容を発表することを目標にします。
  6. 大学院を希望する学生は3年間継続という時間を有効に使うことができます。
  7. 研究するのは学生自身です。