建築学科

デザインするのは、快適で安全な建築、まち、そして生活。

建築生産研究室(浦江真人 教授)

建築プロジェクトのマネジメントに関する研究

建築生産という分野は、建築をつくるプロセスである「企画-設計-施工-維持・管理」と、それに関わる「発注者、設計者、元請施工者、専門工事会社、技能者、等」の非常に広い事柄を扱っている。

例えば、施工不良や手抜き工事による品質事故が問題になっている。これらは、近年発生している大規模震災や偽装事件などにより顕在化してきている。品質確保の問題は、施工者側の責任だけではなく、発注者、設計者も含めた建築生産に関わる全ての主体間の意思決定や情報伝達の問題である。それらの役割と責任の曖昧さによって問題が生じている。更に、技術や材料の高度化・多様化により細分化・専門化され、これらを総合化・統合化するためのマネジメントの重要性も増している。また、それらの専門家や技術者の能力や技術力の低下も問題となっている。これらの現状の本質を明らかにし、今後の在り方を探ることが研究のテーマである。 研究方法は、実際の建築プロジェクトを対象に調査する。例えば、設計者が作成する設計図書や施工者が作成する施工図などの内容を分析する。また、契約の内容や、打合せや会議などで決定されたり伝達される内容を分析し、いつ・だれが・なにを決め、それらがだれに・どう伝えられ、プロジェクトが進められていったかを明らかにする。

また、これらの研究成果を今後の建築生産に関わる技術者、特に施工系技術者における教育・育成に生かしていく方策を検討するため、各社でどのような技術者の教育・育成をおこなっているか、また、技術者に求められている技術や能力は何かの調査もおこなう。

この研究室を希望する方へ

卒業研究、卒業論文、卒業設計は、大学4年間の集大成です。3年生までは、授業という枠組みの中でいろいろな科目を履修して知見を広めてきましたが、4年生になると、自分の興味のある特定のテーマを深くとことん追求することができます。4年生の1年間では、大きな成果は期待できません。更なる探究を目指すのであれば大学院への進学を勧めます。研究は、自分で考え、自分で調べ、自分で整理し、自分で分析し、自分で纏める力を養う機会でもあります。めまぐるしく変化する社会では、大学で学んだ専門知識だけでは対応しきれません。だれもが未知の事態への対応を迫られています。そのためには、情報収集、情報分析、問題発見、問題解決の力が欠かせません。大きな「志」を持って取り組んで下さい。