建築学科

デザインするのは、快適で安全な建築、まち、そして生活。

地域デザイン研究室(田口陽子 准教授)

都市・地域のパブリックスペースに関する研究

都市の魅力は、多様な文化的背景の人々が高密度に住み、人々の様々なアクティビティ(=活動)が同時に存在し、そこに思いがけない出会いが待ち受けているところにあります。パブリックスペースは、都市を行き交う不特定多数の人々が留まることができる空間のことであり、そこでは都市に発生・集積する様々な情報に遭遇でき、多元的な都市の魅力が凝縮された場が形成されます。

一方、我が国では人口減少社会を迎え、大都市への人口集中により地域間格差が開きつつあり、地方や郊外においては空き家・空き地の増加などが問題になっています。では、そのような状況の地域において、パブリックスペースはどのようなものであったらよいでしょうか。地域に潜在するアクティビティを集約し、外部からの流入も受容するなどして、散在するひと・もの・情報を束ねて人々に刺激を与えるような場をつくる必要があります。それは、戦略的に仕組みをつくりつつ、特色ある拠点をつくることであり、単一機能に対応した従来の公共施設とは異なり、時間によって使い方が多様に変化するパブリックスペースとして運営されることが求められています。

当研究室では、国内外のユニークなパブリックスペースの調査、地域社会と連携活動などを通じて、これからのまちづくりに資するパブリックスペースをつくるための、デザイン手法、使い方のプログラム、エリアマネジメント手法、仕組みづくりなどについて研究しています。

この研究室を希望する方へ

まず、国内外の様々な都市・建築に関心があり、その成立背景や歴史・文化を探究したいという志を持っている人が望ましいです。実際に足を運んで自らの目で現地を確かめることのほか、文献・資料を読んで視野を広げたり深掘りしたりすることも大切です。

都市計画・まちづくりは法制度や経済活動と密接な関係があり、建築分野のなかではかたちのないもの(ソフトウェア)を扱うことが多い分野ですが、建築のかたちや空間(ハードウェア)がもつ力も無視できません。建築の文化的な側面にも配慮しながら、都市計画・まちづくりの新しいあり方を積極的に提案して欲しいと考えています。

大学外の地域社会との連携活動では、「こんなまちにしたい」、「こんな場所をつくりたい」といった社会貢献の姿勢、他者との主体的なコミュニケーションや協調性をもって臨むことが求められます。まちづくり活動は金銭に換算されない物事が多く、多様な人々との協働が不可欠です。金銭よりも人的資本こそがまちづくりの原動力であり、個人にとっては活動を通じてできたネットワークが人生の財産になります。