都市の魅力は、多様な文化的背景の人々が高密度に住み、人々の様々なアクティビティ(=活動)が同時に存在し、そこに思いがけない出会いが待ち受けているところにあります。パブリックスペースは、都市を行き交う不特定多数の人々が留まることができる空間のことであり、そこでは都市に発生・集積する様々な情報に遭遇でき、多元的な都市の魅力が凝縮された場が形成されます。
一方、我が国では人口減少社会を迎え、大都市への人口集中により地域間格差が開きつつあり、地方や郊外においては空き家・空き地の増加などが問題になっています。では、そのような状況の地域において、パブリックスペースはどのようなものであったらよいでしょうか。地域に潜在するアクティビティを集約し、外部からの流入も受容するなどして、散在するひと・もの・情報を束ねて人々に刺激を与えるような場をつくる必要があります。それは、戦略的に仕組みをつくりつつ、特色ある拠点をつくることであり、単一機能に対応した従来の公共施設とは異なり、時間によって使い方が多様に変化するパブリックスペースとして運営されることが求められています。
当研究室では、国内外のユニークなパブリックスペースの調査、地域社会と連携活動などを通じて、これからのまちづくりに資するパブリックスペースをつくるための、デザイン手法、使い方のプログラム、エリアマネジメント手法、仕組みづくりなどについて研究しています。