建築学科

デザインするのは、快適で安全な建築、まち、そして生活。

建築構造研究室(李文聰 准教授)

巨大地震・強風に耐えられる新世代のメガ柱における開発的研究

コンクリート充填鋼管(Concrete Filled Steel Tube、以下、CFTと略記)は耐荷能力と変形能力に優れる合成構造として、現在の超高層建築物では柱部材に不可欠な構造要素となっています。超高層建築物および超々高層建築物の柱では、建物の高さに比例する自重による軸力と地震荷重あるいは風荷重による転倒モーメントによる付加軸力が作用し、特に最下階の柱に作用する軸力が大きくなります。構造システムとしてメガストラクチャー構造を採用する場合には、大架構としてのメガ柱(巨大柱)に集約された一層大きな軸力が作用することになり、この軸力の処理が設計施工上の重要な課題となります。
この課題を解決するために、本研究室は、メガ柱を対象にして、従来のCFT柱を発展させた新しい構造形式として、日の字断面を有するCFT柱、隔離用鋼板により二重鋼管を分割した複数のボックスを有するCFT柱、および大断面の主筋として機能する内蔵CFT要素(以下内蔵CFT式主筋といいます)を有するCFT柱などを提案しました。その中の一例として、内蔵CFT式主筋は従来の断面積の小さい主筋より支持能力が強くて、安定しており、耐火性能に優れている且つ局部座屈を抑制できるコンクリートに囲まれているので、局部座屈が生じにくくなります。そのため、内蔵CFT式主筋を有するメガCFT柱は、従来のCFT柱とCFT-Rより靭性性能及び火災への耐火性能が優れていると考えられます。
実建築物の構造設計に適用するには、本研究シリーズでは、実験により提案したメガCFT柱の基礎データを収集し、その構造性能(靭性性能と終局強度及びエネルギー吸収能力など)を明らかにしているとともに、さらに提案したメガCFT柱について、非線形有限要素法による弾塑性解析を行い、実験結果と解析結果を比較検討して、考案したメガ柱の合理性と実用性を明らかにしています。

海外の超々高層建築物
柱の曲げせん断実験風景
柱の中心圧縮実験風景

この研究室を希望する方へ

本研究室では、将来の超々高層建築物にも応用でき、さらに巨大地震・強風・テロに耐えられるシンプルな且つ合理的なメガCFT柱を開発しています。研究をするために、数学・物理・英語などの必要な基礎学力を有し、および構造工学・耐震工学の分野などの専門知識を有する必要があります。また、開発をするために、共同で実験を行い、データを収集することも求められています。そのため、研究室入室希望者に望むことは、グループワークに積極的に絡める人、建築構造分野に対する興味・関心を持つことを期待しています。また、海外の建築構造物に対する好奇心を持ち、可能であれば海外での調査にも同行してもらい視野を広げてもらうことも期待しています。その他、以下の①から③のいずれかに該当する人も歓迎です。①明るくて真面目な人、②自主性・主体性がある人、③約束を守れる人。