建築学科

デザインするのは、快適で安全な建築、まち、そして生活。

都市計画研究室(大澤昭彦 准教授)

持続可能な都市空間形成に向けた都市計画・建築規制に関する研究

私の専門分野は、都市計画です。暮らしやすい住環境や魅力的な都市景観をつくるための法制度やルールのあり方を研究しています。

私たちが生活する都市空間は、建築基準法や都市計画法、景観法といった様々な法律に基づいてつくられています。わが国では憲法で財産権が保障されていますので、各人が自由に土地を所有し、利用することができます。しかし、みんなが好き勝手に建物をつくってしまったら都市はどうなるでしょう。例えば、閑静な住宅街に工場がつくられれば良好な住環境が損なわれるかもしれません。また、歴史的街並みに高層マンションが建ったら、地域固有の景観が損なわれてしまいます。

都市には価値観の異なる人びとが集まるからこそ、都市のあるべき姿を共有し、一定の決め事やルールを設けることが欠かせません。
様々な法制度に基づく都市計画や建築規制は、都市の問題を最小化するための手段であると同時に、より良い景観・住環境をつくるための有効なツールでもあります。

現在、本格的な人口減少社会に足を踏み入れています。これからの半世紀で人口の3割(3000万人)が減少するとの試算もあります。これまでのように、人口増加を前提に市街地の拡大を進めるのではなく、都市をコンパクトにして高い人口密度を保つことで、都市の活力や魅力を維持することが必要です。また、激甚化する都市災害や環境問題といった都市の課題への対応も求められています。

人口減少時代の都市に対応した都市計画や建築規制はどうあるべきか、現行の法制度の問題を分析するとともに、今後の法制度や仕組みのあり方を研究しています。

この研究室を希望する方へ

「都市」は一朝一夕にできるものではありません。計画を策定しても、その実現には時間がかかります。都市計画の効果はすぐに現れるわけではないため、短期的な利益を優先した都市開発に流れることが少なくありません。その結果、都市に積み重ねられてきた歴史的な蓄積がないがしろにされたり、さらには持続的な都市環境の維持が困難になる恐れもあります。都市を考える際には、長い射程で未来を(あるいは過去も)捉えることが求められます。

大学での学びも同じです。目新しい知識だけを吸収したところで、時代が変化すれば全く役に立たなくなります。むしろ、物事を考える力、考え続けることが何より重要です。
日頃から都市やまちづくりに関心を持ち、問い続けることを通じて、大学で学ぶ専門知識が真に自分のものになると考えています。

都市を巡る問題は山積しており、簡単に答えが出るものではありません。途方に暮れてしまいそうですが、だからこそ都市計画、景観計画に取り組む面白さや意義があります。
好奇心を持って都市計画の研究に取り組む学生を歓迎します。