経済大国かつ資源小国で、さらに”災害超大国“である我が日本で建築物を作ろうとする時に必要なこととは何でしょうか。「限られた資源を無駄なく有効に使い、その上で耐震・耐風・耐久性を極めて高いレベルで実現する。しかもできるだけ安価で早く、安全に、なおかつ美しく。」・・・大変に酷な状況で日本の建築物は作られています。
地震をはじめとした建築物の“耐災害性”は、その建築物を使う人々だけでなく、周囲の人々の安全を守るためにも、強く要求されています。
さらに、考慮すべきは対災害性だけではありません。災害がなくても、建築物が雨風にさらされるだけで激しい劣化や美観の喪失、各所の不具合を起こすことは、建築物の使い勝手や補修修理、芸術性の観点からも認められません。これを一般に“耐久性”と言います。
建築物は、「人間の命を預かる構造物」として見ても「価値を生む財産物」として見ても、災害に強く、耐久性のあるものでなくてはなりません。そして、これらは日本以外の地域でも、同じはずです。
当研究室では、建築物の耐災害性、特に大地震を対象とした耐震性の向上と耐久性の維持向上を図るために、建築物を構成する各種部材の構造計算法の確立や問題の改善のための手法の開発、新しい材料の開発や新材料を使った新工法の開発を行っています。
また、限りある資源の有効活用や建築物の長期使用の促進の観点から、既存の建築物の補修補強の実態調査による問題点の把握や、耐災害性の向上に資する各種補修・補強方法の開発も行っています。
さらに、大地震などの大規模災害発生時には、国内外を問わず単独で、あるいは諸機関と共同で建築物の被害調査を行い、被害原因の推定と災害後の建築物の補修補強方法の指導なども行っています。
安心・安全な暮らしを提供する建築物を「耐災害性・耐久性」の観点から考えてみる・・・当研究室は、この終わりのないテーマに積極的にかかわっています。