建築学科

デザインするのは、快適で安全な建築、まち、そして生活。

建築設計研究室(伊藤暁 准教授)

建築の地域性を現代的に再編する

建築と、それが建つ場所との関係は切っても切れないものですが、20世紀に私たちの生活を席巻した高度成長や大量生産・大量消費の社会は、建築がいちいち場所について考えることを阻害してきました。どの場所に建つかに関わらず、同じものを繰り返し作った方が効率がよく、それが社会から求められた合理性でもあったからです。しかし時代が変遷し、これから成熟社会、人口減少社会へと向かっていく中で、社会と建築の関わりも変わっていきます。大量に同じ形の建物が要請される機会は減るだろうし、気候風土にあった省エネルギーな建物や、地形を生かしたインフラフリーな建物にも期待が高まっています。また、空き家問題やストック活用についても今までにない知見が必要になります。このような社会状況の中で、建築は場所とどのように関係を紡いでいけばいいのかを軸に据え、現代的な建築のあり方を研究しています。

そのためには場所についてよく知ることが大切ですので、実際に現地に赴いてのフィールドワークや、過去からの変遷を辿る歴史的な検証、地形や気候と産業の関係など、様々な角度から「場所」にアプローチすることを大切にしています。そして、これらの成果を具体的な建築の設計にフィードバックし、現代的な地域性を纏った建築の姿を見つけていくことを目指しています。

この研究室を希望する方へ

建築の設計やデザインに興味があることが大前提ですが、単に設計を行うだけではなく、その建築が作られる社会背景に注意を払い、建築を通して社会や環境のあり方を解き明かしていくことに取り組める姿勢が重要です。建築は高度に専門化・細分化が進んでいる学問/実務分野で、関連する知見や情報は膨大です。専門的な知識や技能を探求することを怠らず、しかし同時に専門性に閉じこもることなく、広い視野とオープンな姿勢で積極的に学ぶ意欲を大切にする学生に期待しています。