東洋思想文化学科
東西の邂逅、その歴史と未来。人は出会う。文化は溶け合う。
東洋を学ぶと、世界が見える。
東洋の歴史の中で培われた思想や文化を広く学ぶとともに、それぞれの興味に応じた4つのコース(「インド思想」「中国語・中国哲学文学」「仏教思想」「東洋芸術文化」)で専門性を高めます。世界を見渡す広い視野と、自らを見つめる力を養い、豊かな教養と国際性を備えた人財を目指します。
学問の魅力
世界的な広がりをもつ東洋の思想・文化を理解する
19世紀のドイツの地理学者リヒトホーフェンは、ユーラシア大陸を横断する古代の交通路を「シルクロード」と名付けました。
彼の弟子であったスヴェン・へディンは、その道を踏破してかつてのオアシス都市楼蘭を発見し、同じ頃の敦煌文書の発見とともに、ヨーロッパの目がアジアに向かう契機を作りました。
このように、インド・中国・日本を結ぶ「東洋学」という考え方は、単に地理的な西洋に対する東洋ではなく、中央アジアを軸とする「歴史的な文化交渉」を明らかにする中から生まれました。東洋の思想・文化は、世界的な広がりをもつのです。
学び方
4つのコースで専門的に学ぶ
1年次は文章作成の授業や各種概論、また外国語など、ほぼ共通の科目を学びます。2年次からは「インド思想」「中国語・中国哲学文学」「仏教思想」「東洋芸術文化」の4つのコースに分かれて、コースごとに専門科目を履修します。コースによって必修となる言語がことなり、また、教職資格を取得できるコースは限られていますので、コース選択に当たっては、しっかりと目的意識をもつことが重要です。
また、各コースの授業や催しなどを通じて、1年生から4年生まで学年を越えた友情の輪が広がります。さらに、異文化理解に不可欠な語学学習にも力を入れており、英語や中国語などの語学力を生かして国際社会で活躍できる、豊かな教養と国際性を備えた人材を育成します。
グローバル化への対応
1年次から充実したカリキュラムでグローバル時代に即した語学教育を行います。必修外国語は英語ですが、ほかに、中国語・ドイツ語・フランス語から一言語を選択して履修します。
とくに中国語については、学科の専門科目においても、基礎から上級まで段階的に、「読む」「書く」「話す」「聴く」の4つの力を鍛える実践的語学教育を実施しています。専門科目の外国語として、現代語としてはヒンディー語(インドの公用語)と韓国語を、古典語としてはインドのサンスクリット語とパーリ語に加えて古典チベット語の講義を開講しています。
いずれもアジアの思想と文化を理解するために欠くことのできないものであり、積極的な学習が推奨されています。
4年間の学び
幅広く、しかも専門的に学べるカリキュラム
本学科では東洋の思想や文化を幅広く学ぶとともに、4つのコースに分かれて、より専門的に学ぶことができます。世界を見渡す広い視野と、自分自身を深く見つめる眼力を養います。異文化理解に不可欠な語学学習にも力を入れています。
卒業論文のテーマ例
- 中国の仏教思想理解についてー『理惑論』を中心としてー
- 『マハーバーラタ』第18巻1〜3章における地獄の役割 ーカルマと運命と王の地獄巡りー
- 張愛玲の作品から見るヒロインの生き方
- フィットネス・ヨガとヒンドゥ教が説くヨーガの違いについて
- 原始仏教における戒・定・慧の悟りのメカニズムの可視化 ー認識プロレス・煩悩・修行の相関の観点からー
- 葬送儀礼の意味 ーバリ島「ピトラ・ヤドニャ」と日本・チベットの葬儀と比較して ー
- 同字重出の規則を破る近体詩
- 現代に活かす『論語』
- 日本文化における龍の表象に関する考察ー中華文化圏からの影響を視座にー
- 人間社会における「徳」の有用性~渋沢栄一の思想を通して考える~
学びの取り組み
東洋思想文化を実践しよう! 実技講義科目のススメ
インド・中国などでは思想や文化がたくさんの書物に書き記されていますが、書物だけでなく実際の体験も重要な文化として伝えられています。本学科では、「ヨーガ」「坐禅」「写経」「インド舞踊」「仏教の芸能」といった多彩な実技講義科目を設置しています。これらの科目では、その専門分野で活躍する先生方を講師に迎え、実際にヨーガやインドの伝統舞踊、また日本人にもなじみの深い坐禅や写経等を実践したり、日本の宗教文化に関わる施設を見学したりすることを通じて、生きた文化を学びます。さらに実践と同時に、その思想的背景に関しても講義も行われ、各々の文化をより深く理解できるような授業内容となっています。
背景を学んだ上で実際に身体を動かしてみる。このような授業は他大学の関連分野の学科では見られない、本学科ならではの大きな特色です。
海外文化研修
アジア諸地域の文化を学ぶ「海外文化研修」の科目を設置しています。これは教員が引率し、インド、中国、東南アジアなどのアジア諸地域に出向き、現地の社会‧文化を実際に目で見て理解するという科目です。
海外に出かける前にはまず事前学習として、その地域の歴史や思想文化などに関する講義を受け、基礎知識を身につけます。その際は講義を受けるだけでなく、自ら好奇心を持って現地のことを調べる作業が大切です。
現地では文化的な事物や現地の人々と触れ合うことで、その社会や文化について理解を深めます。帰国後は各自、研修の成果を報告書にまとめて提出します。それによって研修を通じて得た理解を、しっかりと自分のものにすることができるでしょう。
アジアは今だんだん身近になってきてはいますが、まだ「ひとりではなかなか...」と躊躇する人もいます。そういった学生にとっても、海外への一歩を踏み出すきっかけになる授業です。2016年度はタイ、2017年度はインドネシア、2019年度は中国、2022年度はインド、2023年度は台湾で実施しました(2020・2021年度は感染症拡大により中止)。