「脳の不思議を解明して、心の病に悩んでいる人を助けたい」。そんな夢を語ってくれた生命科学科の岡丈郎さんは研究にも熱心ながら、バドミントンサークルにアルバイトにと大学生活を存分に満喫している。人と触れあう時間が何よりも好き。そんなフレンドリーな彼がめざすのは、研究室にこもりっきりにならない「アクティブな研究者」だ。

広い学びが深い研究に導いてくれた

2013060112_img_02

範囲のとても広い生命科学の世界。なかでも僕が興味を持っているのは「脳科学」の分野です。脳は、知れば知るほど不思議なんです。豆腐みたいに柔らかいあの脳が、なぜ人間のすべてを支配できるのだろうと。

うれしいとか悲しいとか、ストレスを感じるとか解放されるとか……。そんな感情を支配しているのも脳の働きです。「心」って実は脳にあるんじゃないかと、僕は考えています。

でも、これだけ大切な器官なのに、いまだ解明されていないことがたくさんあって、だからこそ興味が尽きないのです。4年生になったら脳科学の研究室に入りたいと考えています。

とは言っても、脳にフォーカスしようと決めたのはつい最近のことです。僕はもともと「生命の不思議」のようなことに漠然と興味があって、生命科学科に進みました。でも「生命科学」は、細胞学や神経科学、再生医療、遺伝子工学、微生物学など、ここにあげきれないくらい広い学問なんです。

僕もようやくこの2年間で総合的に学んだことで自分が追究したいテーマが見えてきたという感じです。広い学びから深い研究へ、というステップを踏めるのが、この学科のいいところだと感じています。

好奇心を刺激してくれる教授たち

実験が好きな人だったら、この学科は絶対に面白いですよ。そして、生物学全般に興味があり、まだ学びたい分野が定まらない人にも向いていると思います。生命科学はとても幅広い学問なので、きっと在学中に自分が学びたい分野が見つかるはずです。

入学すると、1年生から週1回は実験の授業があります。最初は教授がついて説明を聞きながら取り組みますが、器具や薬品の扱いにある程度慣れると、学生のチームだけで実験をする機会も増えます。午後から始まって、外が暗くなるまで実験に没頭することもよくありますよ。

高校までは実験と結果で終わっていたけれど、大学ではその先の「考察」が大切になってきます。教科書に載っていることを、ただ確かめればいいということではないのです。

さらに教授から教わるだけでなく、自分で考えることも求められます。大学が「研究機関」と呼ばれるゆえんだと思います。

教授にはとてもオープンな方が多くて、学生と同じ目線で問いかけてくれるので、興味がどんどんかき立てられていきます。研究室も訪ねやすい雰囲気で、教授と学生がともに研究するという一体感があります。そして、勉強だけでなく、いろいろな相談に乗ってくださる教授も多く、とてもよい環境だと思います。

心の病に脳科学からアプローチ

卒業後はまず大学院に進んで、「脳科学」についてさらに深く追究したいと考えています。興味があるのは「脳と心の病」の関係性。心が痛んだり、さらにそれが病気に発展したりしてしまうのも、まだわかっていないことは多いですが、人間の司令塔である脳が関わっているのは確かであると言われています。

僕らは直接、患者さんを治すことはできませんが、「なぜ心が病んでしまったか」のしくみがわかれば、医療も進みますよね。短い大学院生活で果たしてどこまで解明できるのかはわかりませんが、悩んでいる人が一歩でも希望が見えるような発見をしたいですね。

その先は大学に残るか、企業に入るか、まだハッキリは決めていません。でも、自分の性格からすれば、研究室に閉じこもっているタイプではないでしょうね。一人でも多くの患者さんの話を聞いたり、症例を見たり、臨床に参加したり、そんなアクティブな研究者になることが僕の夢です。

岡丈郎さん生命科学部 生命科学科 3年

  • 埼玉県・私立春日部共栄高等学校出身

  • 掲載内容は、取材当時のものです