私たちの身のまわりには、空間、場所、まちが広がっています。その空間の中で生活をしている私たちが、まわりの場所をどのようにとらえているか、つまり「頭の中の都市」や「心の中の場所」について考える学問があります。最近では、ユビキタス、IoT(モノのインターネット)、コンテクストアウェアネスといった「どこでもコンピュータ」の概念が、部屋の中やサイバー空間だけではなく、都市における実空間でも展開されるような時代になりました。日本でも、「Society 5.0」という言葉を使って、情報空間と実空間が高度に融合した超スマート社会を作る取り組みが進められています。そのような社会を作るためには、私たちが生活をする「場所・空間」、その空間に関する「情報」、そして空間の中で生活をし、空間の情報を利用する「人間」、この3つの相互関係を考えることが重要になります。すなわち、どこでもコンピュータの概念を活用し、社会をよりよくするためには、「いつ、どこで、だれが、何のために」情報を必要としているのかを考えなければなりません。また、「わかりやすい都市」、「心地よい場所」を考えるためには、「私たちがとらえる都市・場所」を理解する必要があります。このような、「空間–情報–人間」の相互関係を研究する学問は、空間情報学、空間認知学、空間行動学とよばれ、情報連携学部で学ぶことができます。空間の中で生活している私たちにとって、「空間とは何か」、「場所とは何か」を知ることは学問的にも応用的にも重要であり、みなさんにも興味をもってもらえると思います。

pf-ishikawa.jpg

石川 徹教授情報連携学部 情報連携学科

  • 専門:空間情報科学、認知行動地理学、都市居住論
  • 掲載内容は、取材当時のものです