現代の社会では、インターネット上で情報をやり取りすることができ、特にWebは「情報流通のプラットフォーム」の役割を果たしています。その中には、人工知能を用いてSNSなどの情報を解析するなどさまざまな技術が導入されていますが、良い面ばかりではなく、悪い面もあります。
例えば負の側面として考えられることは、フィルターバブル(情報の偏り)やディープフェイクなどによって、ユーザーが偏った情報や誤った情報に影響を受けてしまうことです。その結果、「私の意見が正しい」と他の意見に耳を傾けることなく主張する人が増えて「社会の分断」を引き起こします。

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そこで今、このような「社会の分断」をテクノロジーで緩和していくために、新しい技術の研究・開発を進めています。その一つが、「気づきを促す記事ビューア」の作成です。Twitterなどで自分が見ている情報がどのように分類でき、どのような位置づけにあるのかを図やグラフなどを使って可視化することによって、ユーザーに新しい視点や気づきを促します。

「ネット用のアンケートUI」についても実験を重ねています。インターネット上でアンケートを実施する際に、「はい」「いいえ」だけではなく「よく知らない」「決められない」という項目を追加し、円形のカーソルを動かして回答できるようにします。このようなユーザーインタフェースを導入することによって「知らなくて反対」なのか、「知っていて賛成」なのかを表すことができるようになるため、アンケートの回答を極端に二分することなく、人々の動向を調査することが可能になります。
ほかにも、ビデオ会議のアシストなどのように、新しい技術を用いたソフトウェアを開発し、近い将来、ツールとして社会に普及させることで、少しでも「社会の分断」を緩和させていくことができればと考えています。

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神場 知成教授情報連携学部 情報連携学科

  • 専門:ユーザ・エクスペリエンス・デザイン
  • 掲載内容は、取材当時のものです