最近は、食べ物に、健康に良い成分が含まれていることが望ましいとされており、機能性表示食品などと呼ばれています。では、機能性表示食品が健康に良いことをどのように証明しているのでしょうか。
例えば普通のパンに抹茶を加え、抹茶入りパンという機能性パンを作ったとします。お茶にはカテキンが入っているため、健康に良い、抗酸化性がある、などと言われます。そこで、本当に抗酸化性が上昇しているのかを調べてみます。
抗酸化性の上昇は、人体に有害なラジカルを除去したかどうかで判断することができます。ラジカル除去能力が上昇したかどうかを検証してみたところ、上昇しているという数値が出ました。しかし、実験結果には誤差が生じます。そこで、科学的・数学的手法として、「有意差検定」により統計処理をします。有意な差があるかについて、数値を調べ、実験結果を検証するのです。
こうした統計処理は、データを科学的に分析できるため、商品開発をはじめ、さまざまな場面で役立ちます。目的に応じた、科学的・数学的な手法をしっかりと学んで、今後の研究や開発に役立てていきましょう。

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吉江 由美子教授食環境科学部 食環境科学科 食物学研究室

  • 専門:新規発酵食品の呈味・成分ならびに機能性の変化に関する研究、解凍条件によるにおい成分の発現に関する研究、イセエビの成長による体成分変化

  • 掲載内容は、取材当時のものです