生物資源学科

植物と微生物に学び、未来をつくる

極限環境生物資源利用学研究室(三浦健 准教授)

未利用バイオマス分解酵素生産菌など有用微生物の発見・応用・開発研究

近頃、原子力発電の安全性や石油の枯渇問題から、それに変わる次世代エネルギーの開発が求められています。そこで、我々の研究室では地球環境を守りながら、「持続可能な発展」を可能とするための研究を行なっています。これまで、新バイオエネルギー生産のため、非食品系バイオマスとして、使用済みコピー用紙、廃木材(おがくず)、農作物の廃棄物を分解できる酵素生産菌を探索し、多くの菌の取得に成功しています。現在、コピー用紙を唯一の炭素源とした寒天培地を用いて、コピー用紙分解候補株CP39株(図1)に注目しています。このCP39株は複数の酵素を生産しており、それらの働きによりコピー用紙を分解します。さらに、分解生産物の検討を行った結果、いくつかの糖が検出されました。また、グルコースキットを用いて、グルコースを検出されました。現在、酵素生産能の向上および諸性質の検討を行っています。

図1:コピー用紙分解候補株CP39株
図1:コピー用紙分解候補株CP39株

未知生物圏(地殻内、深海)からの有用な極限環境微生物の探索

現在、地球上で分離されている微生物は全体のわずか1%ほどと言われています。特に深海や地殻は未開拓であり、未発見のものが分離される可能性が高いです。そこで、我々の研究室では、‘100%スクリーニングプロジェクト’と題し、自分達のアイデアで様々な前処理や培養条件などを検討し、新規有用微生物の取得にチャレンジしています。現在、海洋研究開発機構との共同研究により、地球深部探査船‘ちきゅう’による駿河湾沖の掘削試験(2009年3月)で得られた地殻内コアサンプル(水深756 m、65.54 mbsf)やマリアナ海溝調査潜航(Cruise ID: YK09-08)によるの底泥コアサンプル(深度10,900 m)を用いて研究を行っています。これまで、有用酵素(セルラーゼ、アミラーゼなど)生産菌や高濃度重金属耐性菌など多くの菌の取得に成功しています。

この研究室を希望する方へ

我々の研究室のモットーは、「微生物を大好きになる!」「微生物をヒーローにする!」です。そんな微生物は、地球のどこにでも存在しています。我々の生活でも、食品、飲料、エネルギー、医療品など様々な場面で利用されています。

さて、皆さんが「微生物は、私たちの生活でどのように利用されていますか?」と質問されたとき、どのようなに答えますか?そんなとき、「私は、○○な微生物を探して、将来、△△したいです!」という大きな夢を持っている学生諸君、研究室に来てください。まず、夢を実現するためには、基礎的な知識の取得と、実験することが大好きになることです。次に、様々な観点から、自分でアイデアを考え、実行することです。

自分の可能性を信じて、「必ず、未知なる微生物を発見する!」というチャレンジ精神と強い忍耐力がある学生諸君、一緒にやりましょう!