総合情報学科 心理・スポーツ情報専攻
AIとデータサイエンスで拓く、心理学×スポーツ科学。産業・組織心理学研究室(喜岡恵子 准教授)
鉄道の安全性と快適性に関する研究
ヒューマンエラーに関係する人間の生理的身体的特性、認知的特性、集団心理的特性などと鉄道事故との関係性の分析や、乗務員に対する内外の適性検査の比較検討などから事故防止に関する研究を行ってきました。
また、鉄道利用時のマナーについて学内調査や街頭調査を通じてマナー向上に資する研究を進めています。
職場のメンタルヘルスとコミュニケーションに関する研究
総務省や厚生労働省が実施するさまざまな公的調査データに基づき、家族の変化や雇用・就業をめぐる変化、生活困難をめぐる実態、職場のストレスなどを踏まえつつ、健康の維持・増進のための対策を考えます。また、こころの健康障害に対する企業の安全配慮義務不履行の事例などを踏まえ、職場でのメンタルヘルス対策をコミュニケーションに焦点をあてて検討します。
パフォーマンス評価に関する研究
さまざまな分野におけるパフォーマンス評価に関する研究を行っています。
スポーツには速さや距離などの物理的な指標で競うものばかりではなく、パフォーマンスを評価する採点競技もあります。例えば、フィギュアスケートのパフォーマンス評価は以前から「6.0システム」といわれる採点法を採用し、満点を6.0として、複数の審判員が個々に相対評価を行い、多数決によって順位を決定していました。しかし、2004年からは、内容を細分化し、基準にしたがって数値化し、合計するという絶対評価を行っています。そのため、基準を熟知した上で高得点が得られる演技構成をすることが求められています。
また、鉄道の運転パフォーマンスにおいては、制限速度を守り、自動列車停止装置(ATS)を動作させないように滑らかに運転し、停止位置に正確に止めるなどさまざまな運転技能が求められます。図1は運転シミュレータ訓練での運転パフォーマンスを可視化したものです。この訓練の重要な点は、擬似体験における自分の失敗や感情に気づくことです。しかし、人によっては自分の行動が思い出せなかったり、誤解していたりして、正しい気づきができません。そこで、気づきを促すために、シミュレータ課題における運転行動と運転環境に関するさまざまな指標を対応づけて提示できる可視化システムを組み込みました(特許第4964813号,鉄道の運転士の異常時対応能力向上用シミュレータ訓練方法及びその装置)。図1下は連続2基の信号機消灯に気づかなかった例です。正確な理解を促すために、運転行動と運転環境に関する指標(ノッチ・ブレーキ操作、列車速度、ATS動作等の車上側情報と信号現示といった地上側情報)を同時に提示する客観評価を支援するシステムとなっています。さらに、視線計測により異常時の信号確認の状況(図2)や、心拍とエラーとの関連性(図3)について研究を行ってきました。
入学試験や就職試験も一種のパフォーマンス評価といえます。
目的に応じたパフォーマンスの評価法を研究しています。
この研究室を希望する方へ
本研究室では、研究目的に応じた調査・実験等を計画できること、調査・実験等で得られたデータを統計的に解析できること、解析結果を論理的に解釈できることを基本的な目標にしています。
まず、興味・関心のあるテーマに関連した参考文献を丁寧に読んでいく努力を惜しまないでください。思い付きだけで調査や実験を実施するのではなく、参考文献を読み込んだ上で、研究目的に応じた調査・実験を計画してほしいと思います。
次に、統計解析の理論について学び、調査・実験で得られたデータに適した統計解析ができるようになってください。また、基本統計量の算出、ヒストグラムの作成など基本的なデータ解析を怠らないでください。
そして、解析結果を、思い込みで解釈するのではなく、結果に基づいた論理的な解釈を心掛けてください。