健康栄養学科

人と社会の健康を担う、管理栄養士のちから。

環境衛生研究室(上野哲 教授)

環境がもたらす人体への影響

1. 熱中症発症要因の研究

地球温暖化による夏季気温上昇により熱中症が多発しています。今後も気温上昇が見込まれることから、しっかりとした熱中症対策が必要です。熱中症発症には多くの要因が影響します。そのため、熱中症を減らすには各要因を取り除く又は低減させる必要があります。熱中症対策に用いられている国際基準では、標準的な体格で健康な欧米人(暑さに慣れている場合と慣れていない場合の2通りから選択)を対象にしてその人の活動強度に対応した暑さ指数の上限値が定められています。その上限値を環境の暑さ指数が越えた場合には何らかの対策が必要とされています。しかし、実際には熱中症の国際基準では考慮されていない多くの要因が熱中症発症に関係します。高齢者は若年者よりも熱中症になりやすく、北国では暑さに慣れていないため南の地方より熱中症になりやすいと考えられます。また、朝食未摂取、脱水状態、睡眠不足、飲酒、体調不良等も影響します。研究室では熱中症発症に影響を与える様々な要因を評価することを目的にします。

2. 調理場における熱中症

職場における熱中症は、全熱中症の1/3程度を占めます。熱中症発症者数では屋外で作業する建設業が最も多く対策も進んでいます。屋内でも調理場においては火を取り扱うため熱中症が多数報告されており対策が必要です。調理場における熱中症発生事例を分析して、どこに原因があったのかを明らかにし、改善策についても検討します。並行して、調理場内の暑熱環境測定や熱中症に関するアンケート調査を行い熱中症のリスクを評価します。

この研究室を希望する方へ

みなさんは熱中症になった経験はありますか?カンカン照りの中アスファルトの道路の上を歩いた時や長く風呂に入っていた後などに気分が悪くなったことはないでしょうか?それらは熱中症です。熱中症は対応が遅れれば死に至る危険性があります。将来においても夏季気温上昇は予想されており、さらなる熱中症対策が求められます。熱中症に影響する要因分析、屋外や屋内調理場等の環境測定、アンケート調査により熱中症について様々な角度から調査研究を行う予定です。熱中症のことをもっと知って、対策を一緒に考えてみませんか?環境衛生に関心がある人を歓迎します。