健康栄養学科

人と社会の健康を担う、管理栄養士のちから。

食品調理科学研究室(郡山貴子 准教授)

食品の調理・加工における成分および機能性の変化の解析

本研究室では、調理中に食品の中で起こる様々な現象を物理的、化学的、組織学的に捉え、どのように制御すればおいしい食べ物となるか、を研究しています。

調理科学は英語で「cookery science(クッカリー・サイエンス)」と言います。私たちが毎日の食事で利用する食品の多くは、調理、加工、保存などを経てから食されます。これらの過程で食品の中では様々な物理的、化学的、組織学的変化が生じ、食品の品質やおいしさに影響を及ぼします。食品は成分の複合系から成り立っているので、単一成分による変化だけでなく、食品成分間の反応も生じ、それらの変化は極めて複雑です。調理のゴールは「おいしい食物を作る」ことですので、最終的にどういう状態になったものが嗜好的に好ましいか、そのための必要な条件とは何か、調理科学ではそうした一連の流れを研究し、調理された食べ物を食べる人の側から捉えようとしています。

また、本研究室では未利用食材(あるいは需要の低下した食材)に対し、新たな付加価値を与え、消費拡大に貢献するという活動をしています。例えば、ムクナ豆という多収で今後の食糧資源として活用が期待される食材があるのですが、この豆にはL-DOPA(ドーパミンの前駆体)が乾燥重量あたり3-9%と非常に多く含有されており、食用として用いるには、調理過程においてL-DOPAを制御する必要があります。そこで、これまでに水晒し、煮熟、発酵、焙煎、アルカリ処理など、種々の調理操作によるL-DOPAの消長について検討し、それらを用いた嗜好性の高いムクナ豆の調理品を数多く開発してきました。さらに、ムクナ豆の抗酸化性についても検討しており、ムクナ豆の調理品には優れた抗酸化能を有することを明らかにしています。

このように、これからも食品と調理に関するさまざまな取り組みを交えながら研究を進めていきたいと考えています。

この研究室を希望する方へ

  • 問題解決に向けて努力を惜しまない人。言われたことだけをがんばるのではなく、自ら考えながら行動できる人。
  • 学生自身が自分の興味のあるテーマを持ち込んで研究することもあります。皆さんの好奇心や探求心を尊重します。