健康栄養学科

人と社会の健康を担う、管理栄養士のちから。

食品機能学研究室(細谷孝博 准教授)

機能性をもつ新たな食材の発掘 〜機能性食材と科学的根拠を求めて〜

現代の健康志向から、我々の健康維持に貢献してくれる機能性食品や食材の開発が進められています。我々が住むこの地球上には、未だ研究が進んでいない食材や植物などの資源がまだたくさんあります。こうした食材としてまだ利用されていない、または調査や研究が完全ではない資源より、これまでにない新たな機能性をもつ食材を発見できる可能性を秘めています。そして、こうした新たな機能性食材を開発することで、我々は健康維持を普段の「食事」から今まで以上に得ることができるようになります。

研究室では、我々の健康維持に貢献しうる新たな機能性食品の開発を目的に、そのもととなる食材や植物について、未利用・未調査資源に着目して探索を行っています。研究ではまず、さまざまな地域の食材や植物について、生活習慣病に関与する活性酸素を消去する作用、炎症を抑える作用、肥満を抑制する作用などの機能性を試験管レベルで評価します。評価の結果、機能性を認めた食材や植物は、どの成分が効果を示しているかを調べるために、さまざまな分離手法を用いながら、効果を示している成分を分離していきます。植物には、とてもたくさんの成分が含まれており、糖やアミノ酸などの生体構成成分から、ポリフェノールやカロテノイド、アルカロイドなどの二次代謝産物も多くあります。この二次代謝産物は、植物により特徴があるため、植物の機能性に違いがでてきます。最終的に、単一の化合物にまで分離し、各種分光機器(核磁気共鳴(NMR)や質量分析(MS)など)を用いて、化学構造を明らかにします。それと同時に、分離した化合物による機能性も評価することで、どの成分がその食材の機能性に寄与しているかを明らかにすることができます。こうした研究により、今までにないような機能性食材を発見することができ、「どの成分がどのような機能性を示すか」という科学的根拠と共に明らかにすることができます。

近年の健康食品での被害は、こうした科学的根拠が乏しいものが多く、こうした「何が」「どのような」「どのように」機能性を発揮するかを明らかにすることは、その商品や食材の安心と安全につながります。こうした研究を通して、我々の健康寿命がのび、健やかで楽しい人生を送る手助けになればと思っています。

この研究室を希望する方へ

研究とは、これまでに発見されていないことを見つけるという、いわば「宝探し」のような感覚で研究を進めます。時には、なかなか見つからなかったり、見つけた!と思っても、すでに見つかっていたものであったり、一喜一憂の連続です。しかし、新しいものを見つけたときの感動と達成感は、富士山登頂を成功させたときと同じくらいのものです。ちなみに私はこれまで、4回ほど富士山登頂を果たしていますが、登山直後は、「もうこんな辛い思いはしたくない。次回はもう登らないだろう」と思っても、数ヶ月後には、その時の苦しみを忘れ、登頂した時の感動と達成感がよみがえり、「よし、また登ろう!」と思うようになります。人間って不思議ですね。(私だけかな?)研究もこれと同じだと思います。新しいものの発見のために、いかに貪欲に研究を進めることができるかが大切です。大変なことも多いですが、それ以上の成果が待っていることは確かです。ともに、宝探しの旅に出発しましょう!