現代の健康志向から、我々の健康維持に貢献してくれる機能性食品や食材の開発が進められています。我々が住むこの地球上には、未だ研究が進んでいない食材や植物などの資源がまだたくさんあります。こうした食材としてまだ利用されていない、または調査や研究が完全ではない資源より、これまでにない新たな機能性をもつ食材を発見できる可能性を秘めています。そして、こうした新たな機能性食材を開発することで、我々は健康維持を普段の「食事」から今まで以上に得ることができるようになります。
研究室では、我々の健康維持に貢献しうる新たな機能性食品の開発を目的に、そのもととなる食材や植物について、未利用・未調査資源に着目して探索を行っています。研究ではまず、さまざまな地域の食材や植物について、生活習慣病に関与する活性酸素を消去する作用、炎症を抑える作用、肥満を抑制する作用などの機能性を試験管レベルで評価します。評価の結果、機能性を認めた食材や植物は、どの成分が効果を示しているかを調べるために、さまざまな分離手法を用いながら、効果を示している成分を分離していきます。植物には、とてもたくさんの成分が含まれており、糖やアミノ酸などの生体構成成分から、ポリフェノールやカロテノイド、アルカロイドなどの二次代謝産物も多くあります。この二次代謝産物は、植物により特徴があるため、植物の機能性に違いがでてきます。最終的に、単一の化合物にまで分離し、各種分光機器(核磁気共鳴(NMR)や質量分析(MS)など)を用いて、化学構造を明らかにします。それと同時に、分離した化合物による機能性も評価することで、どの成分がその食材の機能性に寄与しているかを明らかにすることができます。こうした研究により、今までにないような機能性食材を発見することができ、「どの成分がどのような機能性を示すか」という科学的根拠と共に明らかにすることができます。
近年の健康食品での被害は、こうした科学的根拠が乏しいものが多く、こうした「何が」「どのような」「どのように」機能性を発揮するかを明らかにすることは、その商品や食材の安心と安全につながります。こうした研究を通して、我々の健康寿命がのび、健やかで楽しい人生を送る手助けになればと思っています。