わたくしの研究では、農業経済学ならびに統計学などを学問的基盤とし、「データを用いて消費者の『食』に対する価値観と購買行動を解き明かし、持続可能なフードシステムを構築すること」を大きな目標としています。研究テーマは、以下の3つの柱に集約されます。
食情報・意思決定分析研究室(氏家清和 教授)
食べ物の消費者が『何を考え、どう行動しているか』をデータから導き出す研究
- ビッグデータを用いた食料消費行動の客観的・計量的な分析
現在、消費者が日常的にどのような商品を購入した記録が膨大なデータとして蓄積されています。このような消費者の行動を精緻なデータを利用した研究を進めています。アンケートによる主観的な意識調査とともに、実際の消費行動のデータを分析することで、消費者の考え方がどのように行動につながるかを理解することができます。 - 食品の「公共財的価値」に対する消費者評価の計測
現代の食料生産においては、環境負荷の低減や働く人たちの幸せへの配慮といった、社会や環境に対する取り組みが強く求められています。しかし、こうした「目に見えない価値」に対して、消費者がどれくらい追加的な価格プレミアムを払ってくれるのかは、生産現場にとって死活問題です。わたくしは、環境配慮型農産物や新しい技術を応用した新しい食品が市場でビジネスとして成立するための条件を、消費者評価の視点から検討しています。 - 消費者が持つおもいやりと持続可能な消費行動
消費者が「環境に良い」と頭では理解していても、実際の購買行動に結びつかない「意識と行動のギャップ」を埋めるための研究にも注力しています。消費者とってより分かりやすいコミュニケーションの方法を検証しています。消費者のおもいやりを背景として、消費者が自然と倫理的・持続可能な選択を行えるような仕組みづくりを研究しています。
食料をとりまく課題は「作る側(生産者)」だけの問題ではありません。「食べる側(消費者)」の心理や行動のリアルな姿をデータから浮き彫りにし、その知見を生産現場や流通に還元することで、フードシステム全体を持続可能なものへとアップデートすることを目指しています。
この研究室を希望する方へ
自分の好奇心に素直になってください。人は毎日必ず何かを食べています。食の好みは人によって大きく異なりますし、文化が違えば食の在り方も変わってきます。食はとても身近なものですが、身近であるがゆえに、簡単に考えてしまいがちです。どうしてなんだろうという素朴な疑問を大切にしてください。
食に関する話題はとても幅広いものです。今日の昼食で、どのメニューを選ぶかということも観察対象になりますし、世界に混在している飢餓と肥満などの栄養問題、すべてのひとに安定して食を届けるという食料安全保障の問題など、人のいのちや国家運営にかかわる地球規模の課題も含まれています。さらに人類は、これまで様々な食品を食べてきましたから、食のもつ歴史にも奥深いものがあります。
膨大に蓄積されている食に関する様々なデータを皆さんのオリジナルな視点で分析し、まだ誰も知らない、面白いことを発見してもらいたいと思っています。
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