「こんにゃくゼリーは本当に他の食品より危険なのか?」「福島県産の農産物を買ってもらうには、正しい知識を伝えるだけで十分なのか?」
世の中には、一見すると答えが決まっているように思える問いが溢れています。しかし、思い込みや感情だけでルールを決めると、かえって問題が複雑になったり、誰かが損をしたりすることもあります。私の研究室では、「データ」と「消費者の心理」の両面から、より良い社会の仕組み(政策)を考える研究を行っています。
かつて社会問題となったこんにゃくゼリーの窒息事故。私は、単に事故件数を見るのではなく、「リスク」を正しく評価するため、食べられた回数に対する事故の割合(事故頻度)を科学的に算出しました。その結果、年齢層や食品によってリスクの形が異なることが判明し、一律の規制よりもターゲットを絞った対策が重要であることを示しました。
また、「良いことだとわかっていても、なぜ人は行動しないのか?」という問いにも取り組んでいます。人の「心」を分析し、行動を変える研究です。例えば、フェアトレード製品では、調査の結果、知識があるだけでは購入に繋がりません。それよりも「買いやすさ」や「自分にとってのメリット」を整えることが近道だと分かります。また、東日本大震災後の風評被害において福島県産農産物への支援も、啓発活動(知識の提供)だけでは限界があります。データ分析により、消費者への啓発よりも農家への直接的な補助の方が、市場を支える効果が高いことを明らかにしました。
未知の事態には「事実」で向き合うことも重要です。新型コロナウイルスの流行時、私たちは日本初の全国調査を実施しました。世間では飲食店が主な感染源だと批判されましたが、調査データはそれとは異なる実態を示していました。
大学での研究は、単なる知識の暗記ではありません。アンケートや統計手法を駆使して、「世の中の隠れたルール」を見つけ出すエキサイティングな冒険なのです。