コンビニやスーパーマーケットまでの距離や移動手段といった「食料品アクセス」は、個人の食生活を規定する重要な要因となっています。この様な食料品アクセスとは、そこに店舗があるかどうかだけではなく、広い意味で個人を取り巻く社会・経済的要因や地域要因などを含めた「食環境」のひとつとされています。例えば、食料品アクセスの水準が相対的に低い地域や集団では、食生活の乱れや栄養摂取の偏りや、より長期的には健康にも影響を及ぼすことがエビデンスとして明らかになっています。その意味で、食料品アクセスは「食料安全保障」を構成する重要な要因といえます。
一方で、食料品アクセスに恵まれない地域においても、バランスの取れた食生活がおくられている地域もあります。すなわち、食料品アクセスは食環境の重要な要因ではありますが、家族や職業、あるいは地域の結びつきといった様々な要因からも影響されているのです。本研究室では、多様なデータから食環境に関わる事象の関係や結びつき、その影響度について、各種統計手法や計量経済学な手段で定量的に解き明かすことを目指しています。