主に消費者の視点から、食品の購買履歴が記録されたデータを用いた購買行動に関する分析やアンケート調査を用いた消費者の食品に対する評価や態度に関する研究に取り組んでいます。みなさんを取り巻く食生活や食環境は、多くの要因によって日々変化し、多様化しています。例を挙げれば、グローバリゼーションによる海外産食品の国内での普及や技術革新による新規食品の創出、COVID-19パンデミックの影響、異常気象の影響による食品価格の上昇など様々なことが考えられます。これらの要因は、消費者の食品選択に大きな影響を与えており、みなさんの食生活にも関連しています。
このような社会的な要因を踏まえ、どのように消費者が食品の選択を行うのかについて注目し、これまで研究を行ってきました。具体的には、近年、消費者の健康志向が高まったことによって国内で消費が拡大しているオリーブオイルや新規食品として研究開発が盛んに行われているゲノム編集技術を活用し作出された食品(ゲノム編集食品)などを対象として研究を行ってきました。いずれも統計学や計量経済学的な手法を援用して、定量的に分析をしています。
たとえば、狙った遺伝子を改変できるゲノム編集技術は、近年、その技術が急速に普及してきたため、ゲノム編集食品に対する消費者の認識と理解はいまだ乏しいといえます。ゲノム編集技術を利用することで、機能性成分を多く含む食品や食品の生産コストの削減などが実現でき、消費者や社会にとっても有用な技術とされています。実際に、既に商品化され、市場に流通しています。しかしながら、ゲノム編集食品の安全性や価格など、ゲノム編集食品が消費者に選択されるまでには、様々なハードルがあります。そこで、どのような情報によって消費者のゲノム編集食品に対する受容度や態度が変化するかなどを検討したりしています。