現在AIを始めとしたデジタル技術が急速に進化し、さまざまな場面で人間の仕事を肩代わりするようになってきました。今や分野を限定すればAIの能力が人間を上回ることは当たり前になりつつあります。このようなAIの急速な進歩が進むと、人間のすべきことはなくなってしまうのではないかと危機感を覚える人もいますが、そうとは限りません。なぜなら人間には、AI が持つことができないナラティブ(物語)があるからです。

このナラティブを生み出すのは人間の「欲望・欲求」であり、人間には「こうしたい」「こうなりたい」という思いがあるからこそ「消費」が生まれ「経済」が回り、社会が成り立ちます。たとえAIだけで生産が行えたとしても、A Iは指示待ちで自ら動くことはなく、消費する主体の人間が経済を回しています。つまりこの社会で「イノベーション」を起こすことができるのは、やりたいことを自ら見つけ、無数のチャレンジを重ねることができる人間だけなのです。

INIAD(情報連携学部)では学生が「自分の頭で考える」力を高めるためにChatGPTをはじめとした生成AIを学習で利用することを推奨しています。このことを実践するためにINIADではAI-MOP(AI Management and Operation Platform)という名前の生成AIを活用した教育システムを新たに開発し導入しています。さまざまなAPI (Application Program Interface)サービスを教育の中で公平かつ安全に利用できるように整備したうえで、学生が考えや理解を深めるためのツールとして利用できるように教員が工夫をしながら授業に活用したり、課題を出したりしています。

これからの世の中を生き抜く上で必要なのは、自分の頭でやるべきことを考えて、チャレンジしていくことです。自分の頭で考えることが重要になる時代だからこそ、学生たちには、新たな技術を避けるのではなく、正しく向き合う力を身につけてほしいと考えています。

pf-sakamura.jpg

坂村 健情報連携学部創立者

  • 専門:コンピュータ・アーキテクチャ
  • 掲載内容は、取材当時のものです